初めて参加した職場のお食事会は想像以上に楽しかった。
行く前は多少は緊張したし、席とかどんな風に決めるのかもわからなくて、どうか話しやすい空気でありますようにと祈った。
行ってみて最初こそ緊張したものの、後半はとても楽しかった。
一番楽しかったのは、一番苦手だと思ってた人との会話だった。
色んな理由で苦手だったけれど、今日初めて仕事とは関係ない話をして、ガラリと印象が変わった。
その人とはこの半月ぐらい前からちょこちょこと話はしてた。
最初の話は凄い切り口だった。
「武士俣さん、ぶっちゃけこの職場のこと、どう思います?」
だった。
少し説明すると、その頃新しい人を募集してるものの人が集まらず、やっと来たと思ってもダメになって、それである日の昼休み1人でいたら突然そんなことを聞かれた。
その人が何か私に個人的に話しかけてくることなんかまずなかったから、まずは話しかけられたことに驚いた。
そしてこれまでまともに話したことないのに、いきなりそんな核心めいた話をするんだということにも驚いた。
多少はぶっちゃけたけど、当然全部など言えるわけもなく、まぁすっごい微妙な関係から微妙な関係ぐらいには昇格したかな…というところだった。
次に話をしたのは、単刀直入に「武士俣さん、辞めるんすか?」だった。
そうだと答えて、それよりもどうやって知って、周りがどの程度知ってるのかをその人に聞いた。
周りは知らない気がすると言われた。
そうしたらその人が機転を利かせて、大御所の人たちを集めた場を作ってくれて、そこでその人たちが全員揃ってる前で仕事を辞めることを伝えることができた。
おかげで私は辞めると伝えた後もとても快適に仕事ができてるし、周りの人たちもこれまでと変わらずにいてくれる。
本当にありがたいばかりで、もしあの時その人が機転を利かせてくれなければまた違った展開になったんじゃないかなと思う。
そして迎えた今日。
その人と私は両端にそれぞれ座ったから、最初は話すどころか席が遠すぎて接点は皆無だった。
途中私の隣りの女性が席を移動したことで、本来の自分の場所がなくなったその人がやって来た。
そこから会話が始まった。
終わってみるとわかるけど、その人と色々楽しく話せた成功要因はいくつかあって、1つは共通の話題がないから1から会話を生み出す必要があったこと、もう1つは利害関係がないからざっくばらんに何でも言えることだったと思う。
その人の話は本当に面白かった。
その人が体験したこと、その人が見ている世界、そういうものが私の中には全くないから、本当に丸々新しい世界の話だった。
そして話を聞きながら、その人の器用なところも不器用なところも両方見えて、そしてこれまで見てきたその人の言動や行動の裏側も知ることになった。
表に見えてることとその裏側にある思いの重なり合うところが本当に面白かった。
そして裏側にある思いはとても熱いものを秘めてる人だということもわかった。
色々ぶっ飛んだ人だということもわかって、本人にはそのぶっちゃけ+ぶっ飛んだキャラで仕事したらもっとみんなから愛されるよとも言った。
そんな風に仕事ができるわけないと言われたけれど、その人はそのままのキャラで仕事をする方がみんなももっと親しみを持てるのになと思った。
組織に合わせて仕事するのも大切だけど、こんな面白いキャラクターを出し切れないのはどれだけ大きな損失だろうと思う。
その人が振った話から、誕生日が1週間違いで同じ魚座だということがわかった。
気付けば長い付き合いの友達に魚座の人が多いけれど、この人も同じにおいがするなと思った。
魚座の人は基本的に独特の感性や世界観を持ってる人が多い。
「独特」という意味では一緒でも、その独特感はそれぞれ個々に違う。
そしてこれは私が勝手に思ってる魚座の人の特徴だけど、魚座の人は人を見る時にその人の本質みたいなものを見る癖がある。
どういうことかと言うと、社会的な地位とか、周りの人たちの評価とか、そういうのには流されず、相手をそのまま見てその人の素の印象をまっすぐ見る感じ。
その人の前任の人の話になった時、その人ははっきり言った。
「○○○さんはめちゃくちゃ仕事ができる人っすよ。
本当にすごくできるし、すごく仕事が速い。
何かあれば真っ先に動くし、ピリピリ感は皆無でどんなことがあってもいつも落ち着いてた。
あの人のこと俺本気で尊敬してます!
だけど口下手だから、それで損することもある。
特に上の人はそういうところだけを見て、本当の姿をきちんと見ていない。
だけど、本気で仕事ができる人だから、俺は本気ですごい尊敬してます」
それに対して私も
「あの人が仕事できるのは見てたらわかる。
本当にすっごい仕事ができる人だと思って見てたし、そして細かいところも本当によく気が付いて動いてたのも見ててわかった」
と言ったら、相手はすごく嬉しそうな顔をしながら
「あ!わかります⁉︎気付いてました⁉︎」と言った。
社内の空気もわかるから、そうとは言えない普段の流れがある。
そう言ってしまったら、多分その人が今の自分の置かれてる状況を自ら厳しいものにしてしまう。
その本音の部分を言わない方が色々円滑になることも社会的な利点という意味ではある。
だけど、本当はすごく尊敬しているしすごく好きな先輩なんだろうなぁというのは顔見てたらわかるし話を聞いててもわかる。
だから私がわかると言った時に、本当の本当に嬉しそうにしてた。
もしかしたら今までで一番良い顔をしてたかもしれない。
その先輩の良さをわかってもらえたということと、自分の気持ちをわかってもらえたということの両方が入り混じってたと思う。
よくよく考えたら、その人が手放しに誰かのことを本気で褒めたたえるなんていうのは初めて見た気がする。
そして普段の真っ当な社会人としての話じゃなくて、自分の本音で話してるのはよく伝わってきた。
今の環境下ではそうとは言えない。
だからこそ、本当に自分の思いを真っ直ぐに言ってたその時は、もうそれだけでエネルギーがはつらつとしてて、聞いてるこちら側も良い気分にさせてもらえた。
人と人とが本音を言える時、コミュニケーションは本物になるし、そして互いに気持ち良くその瞬間瞬間に触れることができる。
変な計算とか根回しとかが要らないから、本当に純粋に会話を楽しめる。
こういうのがやっぱり好きだなと感じる。
ちなみに今日の話し相手は職場の1番トップで、普通の感覚ならこんな風に話をすることさえはばかられると思う。
だけど、これはお互いにそうやって話す方が楽だと感じてるままにしておけば、自然とその流れになる。
そして誰かの人生の中のある部分に触れるなんていうのは、私の中で心震えるぐらいに感動する瞬間だったりする。
今日の飲み会は楽しいだけじゃなく、自分の好きなものを再確認する時間でもあった。
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