[写真たち]
令和初デートのカフェ
コースターがCDで、ふと見たら
「WHAT NOW MY LOVE」
だった件(o´艸`)
「ぶしまたさん、今度東京に来る時お茶しませんか?」
その一言で実現した令和初デート。
日が暮れる前から銀座の一画にあるカフェに行った。
私はその時適当に場所を決めるのだとばかり思っていたら、Kさんから
「僕行きたいお店があるんです。そこでもいいですか?」
私は2つ返事で「はい」と答えた。
Kさんのこだわりで、Kさんはオシャレなガラケーを使っている。
ぱっと見ガラケーと言うよりも、PHSみたいな大きさの元気なきみどり色のビタミンカラーの携帯電話。
ネットで必要な情報は、自宅でパソコンやiPadで用を足しているとのことだった。
今回行きたいお店は、「アナログなんだけど写真撮ってきたんだよね」と言いながら、リュックの中からデジカメを取り出して、地図を見せてくれた。
「画像が粗くて見えにくいね」と言っていたけれども、私と会う前に下調べをしてくれていたことと、場所を特定するために地図をデジカメに収めて来てくれたこと、それが本当に嬉しくて、それだけで今日のお誘いは心満たされたようなものだった。
そんなのはまだまだ序の口で、分かれる直前までKさんの心からのおもてなしは凄かった。
一時期「干物女」などという言葉が流行ったけれど、干物女の心の栄養にはこれ以上ないぐらいの憎い演出だった。
デジカメの中の地図は見にくいから、私のiPhoneで地図を出してそれを見て行った。
地図が読めないからKさんにiPhoneを渡すと「僕も地図読み込むの苦手なんだよね」と苦笑いしながら言ってた。
Kさんは自分を盛らずにそのまま自分を見せることができる人だった。
それだけで居心地の良い空気が流れて、ただ目的地に向かって地図の読めない2人が歩くだけでも特別な時間のようになった。
「一度だけ行ったことがあって、そこ雰囲気がすごく良くてまた行きたいなぁと思った場所なんだよね」
Kさんはそう教えてくれた。
古い建物で、階段もかなり急で、そしてエレベーターはなくひたすら階段で最上階の5階に上がった。
着いてビックリした。
天空の庭園的な感じで、店内の半分は吹き抜けで空が見えていて、その箱の大きさに見合った鉢植えの本物の木がとても良い感じだった。
銀座ではなく、どこか別の空間に移動したみたいだった。
席は8時から予約が入っているから、7時半までならいいという条件で、その緑のある庭園側の席に案内してもらった。
店自体はコンビニの半分くらいしかなくて、庭園側は3つの丸テーブルに8人が座ったらいっぱいになるぐらいだった。
料理もフランスの家庭料理的な煮込みやクラムチャウダーとにゅうめんを合わせるという多国籍な感じのもので、とてもおいしそうだった。
気になったけれども、直前までアプリコットのタルトのケーキセットを食べた私は飲み物だけにした。
「Kさん、私は新潟に着いたら車運転しなきゃだから飲めないけれど、Kさんは飲みたかったら飲んでね」
Kさんはありがとうと言いながらも、Kさんも頼んだのはノンアルのトマトジュースだった。
私に合わせてくれたのか、それとも単にトマトジュースが飲みたかったのかはわからないけれど、あえてノンアルで乾杯できることが嬉しかった。
お酒の力抜きで、しらふで色んな話ができることへの期待感みたいなのが高まった。
注文したそれぞれの飲み物が運ばれて来た時、コースターがCDでこれまたとてもオシャレだった。
2人きりで会うのは初めてだったけれども、話題は探さなくてもいくらでも出てきた。
しかも、話の途中でペンジュラムも登場させて、「合ってるかどうかはわからないけれど、私それ多分ペンジュラムで答え出せるよ」と言って、私はKさんの長いこと知れなかったことに対して、ペンジュラムを使ってそのことを特定した。
Kさんは喜んでその答えを受け取って、ノートを出してささっとメモをした。
家に帰って調べてみる!本当に楽しみ!とルンルンに喜んでいた。
私がペンジュラムを使うことも、それが何だということも全く気にならないどころか、興味さえ持ってくれて、それもまた気持ちが安らぐポイントだった。
「そうだ、大事なのを忘れてた!」
そう言って、Kさんはリュックをガサゴソとして1枚の絵を見せてくれた。
その絵は、Kさんが私のブログのある記事を読んで、それで自分の中から出てきたものを表現したものだった。
その話を聞いて、私が現物を見たいと言ったら、わざわざ持ってきてくれたものだった。
画像で見ると実物とだいぶ違うという前評判通り、実物は全く違うものだった。
どの話とリンクしている絵なのかを知っているから、その話とKさんの絵との間の繋がりを感じた。
言葉にはできない感動があった。
私のところに集まったストーリーを私は言葉に起こしたに過ぎなかった。
創作したものではなく、本当に淡々とドキュメンタリーのごとく、あったことを書き連ねた文章だった。
それを読んで何か心の中に沸き起こるものをKさんは絵で表してくれた。
そしてその絵が今私の目の前に登場した。
それぞれ時差があるのに、見えないところで繋がっていて、その見えないものたちからもきちんと自分たちが生きている世界に存在してるんだよ、とアピールされてるみたいで、何とも言えない気持ちになった。
途中から雨が降って、頭上は空の私たちの席はどうなるのかと思ったら、イケメンな店員さんが手動でテントのような屋根をグルグルと回して出してくれた。
突然屋根が出てきてビックリして振り返ったら、イケメンなお兄さんの笑顔とかち合って、雨のおかげですごい得した気分になった。
色んな話をして時間がまだまだ足りなくて、でもお店の人からそろそろお時間ですと言われて、とりあえず会計して出ることにした。
会計が終わると「ちょっとトイレ行ってくるから」とKさんは言って、私がその場に立っていると、「あ、座って待ってて」と言う。
こういうさりげない一言をさらりと言えるKさんの気遣いが光ってた。
気付かなければそのままなのに、そういう細かいことにさっと気付けるその感性にほれぼれとした。
Kさんが戻ってきて店を出る時、出口が狭い場所で2人同時に出ることができなくて、その時も「どうぞ」と先に私を通してくれた。
こういう気遣いをさりげなくできる人っていいなぁといつも思う。
外に出ると、ポツポツと雨が当たった。
「雨降ってきちゃったね。傘とかある?」
私は折りたたみ持っているから大丈夫と答えた。
Kさんはフード付きのデザイントレーナーを着て、自分の頭にフードをかぶせた。
私はKさんならわかってくれそうな気がする、と思って正直に言った。
「私普段から少しぐらいの雨なら傘ささないんだよね」
Kさんは、そうなんだと返事して、それを特別視することも蔑視することもなく、もちろん「風邪引くよ」みたいな注意をすることもなく、その話に2つ3つ言葉を付け足してくれた。
私のままでいいんだなぁというのがとても居心地良かった。
私にとって、雨に濡れるより濡れた折りたたみ傘を扱うことの方がストレスで、少しぐらいなら濡れたって構わない。
そこまでは説明しなかったけれど、色んな考え方や価値観がある、ということをとても素直に受け入れるKさんは本当に凄かった。
歩きながら次の適当な店を探したけれど、雨脚はどんどん強くなっていった。
さすがにずぶ濡れになるとわかって、私は折りたたみ傘を渋々出した。
「もっと濡れそうだから傘差すことにした」と言うと、Kさんも「そうだよね、このぐらいになったら差した方がいいよね」と返してくれた。
あ、うんの呼吸が気持ち良い人だと感じた。
「Kさんは大丈夫?」と聞くと、「2人で傘入っちゃったら2人とももっと濡れちゃうから大丈夫だよ」と返ってきた。
Kさんとの細かなやりとりの1つ1つが私の中ではツボだった。
傘ではないけれど、何か他の場面でも私はこういう変更がよくある。
要はストレスの方向性が一方からもう一方に比重が変わることで、自分の行動も変わってくる。
そういうことがわからない人たちがたまにいるけれど、その変わったことに対して、揶揄したり面白おかしくからかってくる人というのがいる。
愛あるからかいなら全然受け止められるし一緒に笑うけれど、そうじゃない、明らかに悪意みたいなのしかない人たちももちろんいる。
そうして言葉にわざわざするようなことではないけれど、けっこう自分にとっては大事な感覚の部分、それを言葉にしなくてもさらっと受け止めてもらったり、それ自分もわかるかもと言ってもらったりする、その安心感はとても大きい。
そういうところが似ていたりわかる感じだったりすると、長く付き合える気がする。
パートナーシップということだけじゃなくて、友達や他の近しい関係にしても。
しばらく雨の銀座の街を歩いたけれど、適当なカフェや喫茶店が見つからなかった。
そこでiPhoneのマップで探すことにした。
ごく近くにドトールがあるとわかって、そこに行くことにした。
2人でまた読めない地図を見ながら、実は30メートルもしないぐらいの近場にドトールがあると気付いた。
店構えを見て「銀座だとドトールさえも違うんだね」などと言いながら中に入った。
(ちなみに値段も銀座価格( ̄∀ ̄))
そこではさらに加熱して深い話を色々とした。
Kさんがここ最近出くわした、「今すぐここから帰りたくてたまらなくなった」という会合の話をしてくれた。
別メンバーで2回あって、どちらも共通していたのは、せっかく集っているのに話すことは「どこのお店がおいしかった」だのということや、同業種としての仕事の話や、共通の知り合いの話で、「本当につまらなくて、そこにいることさえ苦痛になった」と言った。
人と深くなれるかどうかって「履歴」じゃないんだよね、何回会っても全然深まらない人もいれば、たった一度きりの出会いなのに一生忘れないぐらいの時間になる人もいる。
そんな風にKさんは言葉を続けた。
私はその話がよーくわかった。
私は流行には疎いし、世の中の流行り物にも興味がない。
今日はすごい素敵な庭園カフェでお茶できたのは本当に嬉しかったけれども、それよりも私には色んな話をKさんとできたことの方が大事だった。
どこで食べるとかどこで会うとかは私にとっては何でも良くて、それよりも目の前の人とどんな時間を共有できたとか、どんな話ができたとか、どういう空気感だったとか、そういうことの方が大事だと言った。
Kさんは「それ、すっごいわかる!」と言って、KさんもKさんが普段大事にしている人との時間における重要ポイントを教えてくれた。
Kさんはなるべく人と会う時は、表面的な話ではなくて、少しでも深い領域に潜るような話ができるといいなぁと思って、それを試みてると言っていた。
手応えを感じないこともあるけれど、それがうまくいく時は本当に嬉しいと言っていた。
Kさんも私も話はコロコロ変わる。
先に私の方から、私の話はコロコロ変わりやすいから大丈夫かどうかを聞いた。
Kさんは「僕もそうだから大丈夫!」と笑顔で返してくれ、さらには「こういうこと言われると本当に嫌だよね!」という言葉を一言言った。
具体的な言葉を忘れたけれども、もうその言葉を聞いた瞬間「私もそれすごいわかる!」と即答した。
自分も言われて毎回嫌な言葉で(なのにここですぐには出てこない私の記憶力よ…)、Kさんも私もその時その時に出てきたことを口にして語るのが好きで、だから話がコロコロ変わろうが思いっきり話題が飛ぼうが全く気にならなかった。
時間が終盤に差し掛かる頃、そうだ!と思い出して、Kさんにやりたいことがあると言って1つ提案した。
私が最近見つけたペンジュラムと占星術を組み合わせてヒントを得るやり方で、それを試させて欲しいと言った。
(この話は長くなるから、今回は割愛。【後編】を書く予定でいるからそっちに書こうと思う)
「僕も1つあるんだよね」と言って、リュックから白とショッキングピンクまでいかなくてもかなり濃い艶やかなピンク色の2色で作られた帽子みたいなのを出してきた。
見たこともない代物で、何が出てくるのかワクワクした。
Kさんは「この中にカードがあって、それで色んなことをカードのキーワードから読み解くんだよね」と言って、中から白と濃い艶やかなピンクのカードを取り出した。
前はカードを出して引いていたけれども、それだと決まりきったスタイルでいまいち面白みがないから、こういう袋に入れておみくじスタイルで引く方が面白いかなと思って…と説明してくれた。
見本を見せてくれた。
「例えば、今日の状態を見てみようか…」と言いながら2枚引いたら、
・セックス
・安全
と出た。
私は吹き出しながら、「これって“安全なセックス”ってこと?」と聞いた。
Kさんはどう読み解くかは本当に自由なんだけどね、と前置きした上で、こんな風にKさんの読み解きを教えてくれた。
「まさに今2人でしてることを象徴していると思うんだよね。
セックスってさ要は自分をさらけ出すことでしょう。それも裸の自分を。そしてセックスってコミュニケーションだよね。セックスって蠍座的で、相手と一体化する、融合する、そういうイメージだよね。
今、お互いに安心して自分たちをさらけ出してる、安全だと感じながら自分たちを見せ合ってる、大切なものを交わしてる。
まさにこの時間そのものだよね」
深い話だなぁとしみじみしながらKさんの話を聞いた。
耳じゃなくて心で聞いてた。
私もカードを引かせてもらって、そこはさすがに「セックス」は出てこず、「平和・安全・忠誠」の3枚が出た。
この話も長くなるから後編へ。
最後の方、自分のリュックの中から何かを出そうとした時、家からわざわざ持ってきたドイツ製の鉛筆1ダースが入った箱が目に入った。
それを見て突然思い出した。
「Kさん、鉛筆使います?」
「いっぱいは使わないけれど、少しは使うよ」
「これ、私3年前にあるエッセイコンテストで賞をもらって、その時の景品としてもらったもので。で、今回たまたまそれを見つけて、そうだ、Kさんにあげようと思って持ってきたもので、良かったらもらってください」
そう言って3本出して手渡した。
するとKさんも自分のリュックを開けて、庭園カフェで見せてくれた絵を出した。
「これ、ぶしまたさんにあげる」
「えっ、いいの?」
「うん。
これは本来の持ち主のところにいるべき絵だと思うから、ぶしまたさんのところにいるのが正解だと思う」
そう言って、2枚の絵をプレゼントしてくれた。
予想もしていなかったことではあったけれど、とても嬉しかった。
しかももっと言うと、iPhoneの画面越しに初めて絵の写真を見た時から、その絵が欲しいとひっそりと思っていた。
でも大事な作品だから、その思いはそっと自分の中だけにしまっておいた。
まさか本当に自分のものになるなんて思ってもいなくて、夢みたいだった。
Kさんに「サインして欲しい」とお願いした。
さっき渡したばかりの鉛筆はすでに削られていて、その鉛筆でKさんは可愛らしいサインをしてくれた。
さらにタイトルも付けてくれた。
タイトルに、私のブログの中で使ったタイトルをそのまま付けてくれた。
その絵を一生大事にする、すぐに心に決めた。
あっという間に時間になって、私は帰りのバスのバス乗り場に向かわないといけなくなった。
Kさんの家は東京駅とは真逆の方向だから、そこで分かれるつもりでいた。
ところが外に出ると「僕も東京駅まで一緒に行って、東京駅から帰るよ」と言って、一緒に歩いてくれることになった。
場所が変わっても2人の話に話題が尽きることはなかった。
途中で、道が怪しいと思ってiPhoneのマップを開いた。
もれなく読めなくて、同じく苦手と言っていたKさんに読んでもらって、方向を特定した。
出発時間15分前を切っていて、Kさんに早歩きしてもらってもいいですか?と聞いて、もちろん!と返事をもらって、それで2人で早歩きしながらバス乗り場に向かった。
何とか無事に着いて、Kさんに東京駅の行き方を教えて、角の交差点で分かれた。
2人で、本当に楽しかったー!ありがとうー!と言いながら、ブンブンお互いに激しく手を振って分かれた。
ーーー【後編】に続く〜
後編では、Kさんとやりとりしたペンジュラムやカードの話、そして私から見たKさんと私の本当の関係について触れる予定。