「俺らまた必ず会えるよ」
Gは私たちのグループが日本に帰国する前、そう言った。
どういうシチュエーションでそこには誰がいてとか覚えていないけれど、Gがそう言い放ったのは覚えてる。
Gは私より7つか8つ年下の男の子だ。
当時大学卒業したてのGは年下とは思えないぐらいに色々と大人びてた。
ある時飲み仲間で、ひたすら飲み倒す会を催した時のこと。
バスを降りて、目的のホテルに向かって歩いている時、Gが突然言い出した。
「ぶっしー、何かする時って何が大事だと思う?」
「どうしたの、急に」
「いいから考えて」
私は自分が何て答えたのかさっぱり覚えていないけれど、Gはこう言った。
「俺は、どこに行くとか何をするとかは重要じゃないと思ってる。
大事なのは、”誰といるか”、それに尽きる」
Gが人をとにかく大切にしているのはわかった。
普段ふざけたことばかり言っているけれど、時々ものすごく大真面目に悟りのような言葉をさらりと言う子だった。
後々、共通の友達リーダーと話した時、リーダーが突然思い出したかのように言った。
「あのさ、ぶっしーたちが日本に帰る時、Gは空港に見送りに行かなかったでしょ?
あれね、用事で行けなかったんじゃないんだよ。
あいつは、ぶっしーたちがいなくなるのがすっげー寂しいから、だから見送りには絶対に行かない、って言って行かなかったんだよ。
いかにもGらしいでしょ?」
Gは言葉の通り、日本国内でばらばらになってからも何回か再会した。
最後に再会したのがいつかは忘れたけれど、もう何年も会っていなかった今年の冬、Gから突然電話がかかってきた。
「今度5月に熊本で結婚式を挙げることになったけん、ぶっしー来れる?」
Gは結婚して早3年ほど経ち子どもも生まれていたから、結婚式を挙げることにびっくりしたけれど、こうして会わなくてもそういう自分の人生の大事な時に呼ぼうと思ってもらえることがとてもうれしかた。
行くよと返事して、そして5月を迎えた。
リーダーもちかもすーさんも他の人たちもみーんな集合した。
自分の好きな人たちが一堂に会した。
最後とても気まずい思いをして離れ離れになりもう何年も音信不通だったHさんもいた。
私に占いのおばちゃんを紹介してくれたYさんもいた。
私がこれまで参列した結婚式の中で一番温かくて感動を覚えた式だった。
Gと奥さんの人柄がそのまま写し出された素敵な会だった。
8月に今度はリーダーの結婚式があった。
結局叶わずじまいだったけれど、今年の4月頃にリーダーと奥さんとで北九州から私がいる新潟まで来たい、ぶっしーにだけは絶対に会って欲しい・きちんと見て欲しいというリーダーたっての願いで来たいと言ってくれていた。
リーダーは私の名古屋生活で一番近くにいた友達だった。
お互いの大変な時を知っているし、そんな時はお互いに愚痴ったり慰め合ったりはたまた黙ってただただ飲んだり、そういう時間をたくさん過ごした。
初めてリーダーの奥さんに会ったけれど(写真では見ていた)、写真以上にお似合いの夫婦だった。
リーダーも私のことを奥さんに色々話してくれていたんだと思う。
どこの女かもわからないような初対面の私に、まるでもう何年も知ってるかのような感じで会話してくれた時には、心が躍るくらいに感動した。
この時は、Gと式場で席が隣りになって、Gは当時の私の悩みごとに対して真剣に向き合ってくれた。
「どんな方法があるか一緒に考えるけん!」と言って、本当にどうしたらいいのかを考えてくれた。
最終的にGは「一緒にごはんに行って来い!それが一番」と言った。
Hさんとは結婚式前日の夜に待ち合わせて、音信不通だった頃のことも含めてそして今やこれから先のことも含めて、何時間も話をした。
最後がずっともやもやしていた離れ方だったから、その何時間という時間のおかげで過去も癒され、そしてこれからは気持ち良く不定期に細く長く繋がっていけるだろうと思った。
リーダーの結婚式後、Mちゃんとこれまた何年振りかに東京で再会した。
Mちゃんとの唯一の共通点は、一緒の時期にドミニカにいたということ以外何もない。
出逢った頃はMちゃんは「ギャル」と言ってもいい派手な格好と化粧で、なのに超キャリアウーマンで、アクティブで陽気で、本当にまるっと別世界の住人のようだった。
絶対にお互いに友達にならないだろうタイプなのは見てすぐにわかるぐらいだった。
だけど不思議だなぁと思う。
Mちゃんとはその後とても仲良くなり、相変わらず考え方も生き方も違うけれど、一緒にいて居心地のいい人というのはずっと変わらずにある。
日本帰国して何年にもなるけれど、お互いに近くに住むことはないのに(しかもMちゃんは仕事の関係で何回も引っ越しをしているし来年は海外に拠点を移して仕事をするらしい)、不思議とタイミングがきちんと合って何回か再会を果たしている。
そのMちゃんが今回会った時に、とてもうれしいことを言ってくれた。
私は多分初めてとてもパーソナルな話をMちゃんにしたと思う。
これまではしたくてもするような話の話題さえなかったから、だからしなかっただけだけれど。
その時にMちゃんが
「ぶっしーからそういう話聞くの初めて!なんかすっごく嬉しい!!」
と飛びっきりの笑顔で言ってくれた。
私の人生の中の出来事なのに、Mちゃんは自分のことのように喜んでくれてた。
それがただただ嬉しかった。
たしかGだったと思う。
縁ある人とは絶対に繋がっていくから、と言い切ったの。
一生のうち、多少行き来できるぐらいの近さに住んだのは、リーダーが一番長くて6年位、次にHさんが3年位、他の人たちとは長くて2年、短い人は1年以下だったりする。
さらにその時間の中で一緒に過ごした時間は、もっともっと限られてくる。
それでもどんなに遠く離れても、繋がる人たちとはこうしてずっと繋がり続けている。
今年再会した人たちとは、誰一人として「出逢おう」と思って出逢った人はいない。
どちらかと言えば、最初は仲良くなれるなんて微塵も思わなかった人たちの方が多い。
でもこうして縁あって出逢って繋がっている。
そしてどこで何をしていても、一生どこかで繋がっていくんだろうなぁと思う。
それが自然な感じがするから。
0 件のコメント:
コメントを投稿