電車のつり革広告に、日本語の学習についてのコラムがあった。
その広告は、この辺りでは名の知れた団体が発行しているものだ。
今回のコラムは、外国人が日本語を習得する上での諸々が書かれてあった。
そのコラム、毎回けっこう面白いことが書いてあるから、字は細かいのだけど真剣に読んでしまう。
知っていて損はないような雑学も添えてあったりする。
ただ、今回のコラム、一箇所だけどうしても引っ掛かってしまった。
コラムには、「日本語の文法は、他の言語に比べて簡単」というような表現があった。
そのコラムの良さのひとつは、物事を客観的に書いてあるところ。
きちんと統計がとられたデータの情報を元にしていたり、
時事問題で最近ホットになっているものを例にしていたり、
歴史上のある出来事とその背景を説明していたりする。
それにプラスして目新しい情報なんかを加筆しているけど、
プラスの情報もかなり裏付けを取っているだろうということが、毎回読んでいてうかがえる。
でも、今回だけどうしたことだろう、「日本語の文法は、他の言語に比べて簡単」
と言い切りの形で、全然しっくりこなかった。
これはわたしの主観だけど、日本語の文法は色んな言語の中でもかなり難しいと思う。
ひらがなとカタカナと漢字がある、ということではなくて、
単純に文法そのものがつかみにくい言葉だ。
例えば、日本語は主語がよく省略される。
英語とスペイン語しか文法は知らないけど、どちらも主語がわからないことはほぼない。
英語は必ず主語が必要だし、スペイン語は主語を省略しても動詞の形で誰が又は何が
主語かはわかるようになっている。
他にも色んなものが省略されるし、あと少し言い方が変わるだけで意味ががらりと変わったり、
同音異義語が多いのも日本語の特徴だと思う。
日本人でも間違うことは多々あるのに、外国人が日本語をマスターするとなったら、
相当の研鑽が必要だろうと思ってしまう。
過去に一度だけ、日本語を超本気で勉強している外国人の人から、
日本語検定なるものの1級の問題集を見せてもらったことがある。
その子から「絶対に日本人の人は、解けないと思うよ」と言われ、
そして1ページだけ開いて解いたら、本当に難しすぎて何もわからなかった。
すべて日本語で書いてあるのに、そこにあった文法の問題はマニアックすぎて、
問題の意味もわからなければ、たしか選択問題だったけど、その回答すらも見当がつかず、
それを日本語が母国語ではない外国人の人が一生懸命解いていると思ったら、
ただただ尊敬するばかりだった。
コラムの話に戻るけど、そのコラムも最終的には日本語の文法の難しさを指摘している。
それであれば、最初から「文法が簡単」なんて、取って付けたようなことを言わなくても良いのに、
と思ってしまった。
個人の人が好き勝手に何かを言うのとは違って、
一応電車という公共の空間の中で、多数の人の目に触れる可能性のある情報なのだから、
整合性のとれたものであって欲しい、と自分勝手なことを思いながらそのコラムを読んでいた。
もっと言うと(←卑しさ満点)、団体というのは、この辺で名の知れた大学。
教育を提供する団体だからこそ、大真面目に整合性のある記事を期待してしまう。
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