2017年11月26日日曜日

BUSHI様


朝職場に着くと、机の上にはSさんからのメモが置かれていた。

「BUSHI様」

と私の名前は書かれていて、あとは用件が書かれていた。

社会人になってから色んな人たちから手書きのメモをもらったけれど、未だかつて「BUSHI様」と書かれたことは一度もない。

私は朝から吹き出しそうになり(周りの人たちはもっと早くから出勤していて真面目に仕事をしていた)、Sさんが身支度を整えて戻ってきた頃Sさんのところに行ってメモのお礼かたがたそのBUSHI様について突っ込んだ。

Sさんはニコニコ顔で
「ぶしまたさんの名前は書くと、私の中で『武士俣』じゃなくて『BUSHI』なんです!プロレス好きな人の中ではみんな絶対にそうですよ!」
と言い放った。

メモは仕事のことだからすごい真面目な内容なのに、その私の名前のところだけ超プライベート全開のSさん好みの仕様に仕上がっていたから、そのギャップが朝から可笑しすぎた。

それがSさんから初めてもらったメモだったけれど、Sさんはこれからも私に何かを残すことが出てくれば毎回「BUSHI」と書くと私に宣言していた。
 

今でこそ私は自分の名字が嫌ではなくなったし、むしろ「ぶっしー」と老若男女問わず誰でも呼びやすいあだ名もあって便利な名前だなと思うようにはなったけれど、子どもの頃はこの名前でたくさんいじられいじめられ本当の本当に嫌な思いをたくさんした。

しかも、ぱっと見て読めないし(大抵の人はそのまま読んでいいのか迷うらしい)、電話越しでも対面でも自分の名前を言うと毎回聞き返されるしで、正直普段は不便なことの方が多い。

でも大人になってからは、この名前のおかげで笑いや空気を和らげる瞬間を経験することがうんと増えた。

日常的に面倒なことは相変わらずだけど、それ以上の良い面を見ることができたから、今はこの名字で良かったと思っている。

今回の「BUSHI」は人生初の新種のパターンだったけれど、これからもこの名前で色んなストーリーが展開していくのは面白いなと思う。

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