2017年11月20日月曜日

贅沢な37歳の振り返り

36歳の誕生日の時から、毎年誕生日の前後でその年の1年にどんなことが起きたかをノートに書くようになった。

今そのノートを見たら、最初が35歳の振り返りとあったから、36歳の誕生日から始めたことを知った。

38歳になった時、37歳の振り返りもしようとノートの上に「37歳の振り返り」と書いたところまでは良かったけれど、ずっとそのままになっていた。

それをやり忘れたことさえ忘れていて、つい先日探し物の途中でそのノートを見て、37歳の振り返りが白紙になっていることに気付いた。

 

雲ひとつない天気がとっても良かったその日、なんとなく海の方面がいいんじゃないかと思って海めがけて出発した。

海めがけてと言っても11月だから、海にはちょっとだけ立ち寄ってあとは適当なカフェとかで書いたらいいと思っていた。

その適当な海岸沿いに来た時、「いや、ここで書きたい!膝かけを使えば気持ちよく書ける」と確信し、海の目の前で書くことにした。

書き始めようと場所を確保、コンクリートブロックの上に腰を下ろした時、「この状況にはホットコーヒーと甘いクッキーが似合う気がする」と思い付き、またノートや筆記具なんかを全部片付けて、すぐ近くのセブンに行った。

これがまた想像ぴったりのクッキーがあった。

大きなクッキーで、そこにチョコの大きな塊がゴロゴロと入っているもの…、まさにそういうクッキーを見つけて感動した。

大学生の頃、この手のクッキーをよく作っていた。

それこそ1回で20枚近くは作ったと思うけど、私はそれをどうしていたんだろう…。

人に配り歩くにしても、けっこうな量だ。

私は甘いもの好きではないけれど、その手のクッキーは好きで、大学の売店でも時々バラ売りのものを1枚買って食べたりしていた。

そんなこんなを思い出しながら、また元来た道を戻り、最初に見つけたスポットに腰を下ろした。

たかが10分程度で、釣り人たちもカップルたちも誰もいなくなっていて、まさに私1人の貸し切り状態になっていた。



 

37歳の振り返りと言っても、その時すでに38歳8ヶ月という頃で、実際の37歳が何年の何月から何年の何月を指すのか、それをまず紙に書き出さないとわからなかった。

書き出した後も、2016年の3月11日から2017年の3月10日まで頭の中を整理しないといつどこで何があったのか思い出せず、まずは思い付いたことを本当にその間にあったかどうかを探るために携帯の写真を確認した。

やっぱりその間にあったことなんだと確認が取れると、箇条書きでノートに書いていった。

そして当時は全く重要でも何でもなかった出来事を2つ最後に付け加えた。

37歳の時には全く重要ではなかった出来事だった。

だけど38歳になったら、それが38歳の最重要事項といわんばかりの未来を予想するものだったことにこの38歳と数ヶ月を過ごして気付いた。

だからその2つをそのノートに付け加えた。

 

はたと海に目をやると、太陽が海の地平線の向こうに沈もうとしていた。

残念なことに、私がいたスポットは、ちょうど海岸沿いに建っているホテルのような数階建ての建物とまさに沈もうとしている太陽が重なっていて、太陽が沈む瞬間を見れそうにもなかった。





私は急いで荷物をまとめ、駐車場に走り、そしてすぐに車を出した。

地理なんかさっぱりわからないけれど、絶対に数分走ればその建物の先に行けると確信した。

10分後がギリ、15分後では太陽が完全に沈むだろうことを予想し、私は急いで海岸沿いの道をドライブした。

ホテルを越えた辺りに、丁度無料の海水浴専用駐車場があった。

そこに車を止めて海に出ると、まさに太陽がきれいに沈もうとしていた。




私は適当な流木の上に座って、太陽が沈んでいく姿を眺めていた。

太陽がなくなり空を見上げると飛行機雲が出ていた。

自然が奏でる一期一会に私は涙が出そうだった。

何もかもがきれいで美しい、そんな感じだった。

少し離れたところの海には岩があって、その上に小さな鳥居があった。

私はきれいな景色を見せてくれたことにお礼を言おうと思い、その鳥居めがけて歩いた。

その途中、その海岸の名前を知った。

「番神」だった。

驚いた。

私は今の仕事で「番神」とい地名を初めて知った。

だけど、それが一体どこにあるのかなんて興味もないから調べることもなかった。

書類の上の「番神」は単なる名前でしかなく、それ以上でもそれ以下でもなかった。

だけど、あの海岸沿いに降り立ち、きれいな夕陽を見た時、そこには自然の神様が存在すると大真面目に思った。

「番神」「神の番をする場所」ぴったりの名前だなぁと思った。



 

37歳の振り返りはそうして終わった。

通常この振り返りは家でする。

そして誕生日の直後ぐらいにしている。

今回は時間もあっただろうになぜすぐにしなかったのか、そんなのは当時の私に聞かないとわからない。

だけど当時の私が先延ばしにしてくれたおかげで、今とてつもなくきれいな景色の前で37歳の振り返りができた。

最高に贅沢な振り返りタイムだった。

 

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