夕方、近所のあるお宅の前を通ったらシチューの匂いがした。
シチュー特有の匂いが体に染み渡る季節になった。
昨日は昨日で、イチョウ並木の大通りを通った時、銀杏特有の臭いがした。
わたしはつい数年前まで、銀杏が大嫌いだった。
子どもの頃、父と母がなぜ銀杏をとてもありがたがって食べているのか理解に苦しんだ。
母なんかは休みの朝の早い時間に、車通りの多い道のイチョウ並木の下の銀杏を採りに行くと
言って、出掛けていた位だった。
市販の茶碗蒸しの中に銀杏が入っていることもあったけれど、それも好きではなかった。
食べれないほどではないにしても、あの味がどうも道に充満している銀杏の臭いとリンクして、
ゆっくりと味わうなんて絶対にしたくない食べ物の一つだった。
それが突然美味しい!と目覚めたのは、数年前友達の家での飲み会の時だった。
あの時、友達は人からもらったと言って、紙袋に銀杏を入れてレンジでチンして出してくれた。
臭いはあの銀杏特有の臭いだ。
出されてもあまり気が進まないものではあったけれども、友達が「美味しい!」を連発。
この友達とは食べ物の好みがものすごく似ている。
その友達が言う位だから、と思って一粒パクリ。
「!」
ほんと、言葉にならない感じだった。
不味いと思い込んでいた銀杏が、ものすごく美味しかった。
友達と競うようにして銀杏を食べたのは言うまでもない。
こんなに銀杏って美味しかったの!?とびっくりした。
これまでの自分の思い込みが大きく覆された瞬間だった。
元々あまり好き嫌いはない方だけれど、大人になってから好きになったものは多い。
銀杏の他にも、もつ煮、たけのこ、ニシン、みょうがなんかがある。
見ての通り、飲兵衛の父親の好きなものが我が家の食卓にはよくのぼった。
だけど、子どもの頃はいまいち好きになれず、それらのメニューがメインにのぼるとものすごく
がっかりしたことも憶えている。
今ではそれらが食卓にのぼると、ものすごく嬉しい。
たけのことニシンの煮物は、母にリクエストする位に好きになった。
苦みとか渋みとか旨みなんかは、大人になってからの方がうんとわかる「味」なのかもしれない。
ちなみに、目下苦手なままなのは、今のところパクチーぐらいだ。
いつかパクチーにも目覚めるんだろうか…。
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