2015年10月1日木曜日

怖い独り言

今日、お気に入りの大型書店に行った時のこと。

まず数人に連絡を入れる用事があり、それをするために書店内のベンチに座った。

その連絡を携帯に打ち込みながら、どこからともなく声がしてきた。

ずっと同じ言葉を繰り返しているようで、最初は自閉症とか何かしらの知的障害を持たれた方が

いるのかなと思った。

その声の主は、何かをぶつぶつと言いながら徘徊していて、そして丁度わたしの近くを通った時、

何を言っているのかはっきりと聞き取れた。

「じさつ、じさつ、じさつ、じさつ、じさつ、じさつ、じさつ……」

多分、「自殺」と言っているのだと思う。

目も少しいっている感じで、言葉と表情がセットになって変な恐怖感に襲われた。

嫌でも聞こえてしまうから場所を移動しようかと思ったけれども、まぁすぐに過ぎ去るだろうと思い、

席は移動せずまたわたしはわたしでメッセージの打ち込みに戻った。

ところが、この声の主はまた近くを通り、相変わらず「じさつ」を繰り返している。

何の根拠もないけれども、声の主は多分自閉症とかではない。

本来は健康な心と体を有しているタイプの人だと思う。

自閉症の人とか、言葉を繰り返すくせのある障害者の方と関わったことがあるからなんとなくは

わかる。

そういう方たちが仮に「じさつ」と繰り返していても、あの変なぞっとする感じはない。

「おはよう」も「ありがとう」も「バス」も「じさつ」も、同じレベルと括るには大雑把過ぎる捉え方では

あるけれど、絶対に不快なエネルギーがのっていないから「あぁ癖なんだな」というのがわかる。

今回の声の主は違う。

何かが確実におかしいと感じるタイプの独り言だった。

ただ他のお客さんに危害を加えてるわけでもないから、店員さんも注意できないのだろう。

そして注意して暴れても困る。

何とも読めない人物すぎて、誰も何も言わない。

わたしももちろん聞こえていても何も言わない。

結局ずっと近くを徘徊していて、わたしの方が耐えられず、ものすごく離れた別のセクションに

移動をした。

不快感や恐怖がとりあえず収まったところで、ふと思ったこと。

声の主は、もしかして誰かの注意を引きたくてあの言葉を言っているのではないかということ。

誰かに注目して欲しかったらもっと他の手段もあるだろうに、そうはできない。

できないのか知らないのかはわからない。

ただ知らないとしたら、寂しい人だなぁとは思う。

生きていて辛いこと、苦しいこと、そんなの誰だってある。

何にも悩みのない人なんていない。

でも、あのやり方では周りも怖くて手が出せないよ、と思う。

話を聞くことも、一緒にげらげら笑うことも、もちろん泣くことも、そういうのって「相手が安心

できる」ってわかるから成り立つこと。

人生でものすごーく大変な思いで生きてきた人、これまでたくさん会ったことある。

それでもそんなことさえも吹き飛ばす位に、魅力的な人間性に富んだ人たちばかりだった。

それこそ「自殺」してもおかしくない位に追い込まれた人も中にはいた。

なのに「怖さ」がないのは、その人が持っている人間性のおかげだと思う。

声の主だってそういう可能性が絶対にあるのに…。

何とも煮え切らない思いを感じた独り言だった。

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