3日前、とうとう台所専用の雑巾の一部が破けた。
そろそろ次の雑巾をおろさないといけないかなぁと思ってからそんなに経たずにその時を迎えた。
今のアパートには掃除機がない。
当初から物を増やしたくなかったのと、掃除機は場所も取るから余計と手を伸ばさなかった。
結局この6年、ほうきと雑巾だけでほぼ全ての掃除をまかなっている。
トイレや風呂場のような水回り系だけは、それ専用の別のブラシやスポンジがある位。
台所に関しては、最初から雑巾を使っていたわけではなかったと思う。
キッチンタオルを使った時もあったような気がするし、掃除用のスポンジで拭いていたこともあった
ような気がする。
今となっては記憶が定かじゃない。
台所にも雑巾をデビューさせたのは、ある年配のお友達に母特製の雑巾を譲ったことがきっかけ
だった。
うちの母は戦後生まれの人によくある「物を大切にする」精神の強い人だ。
物がない時代を生きた人だから、とにかく物を捨てれない。
顔や手を洗った後に拭くタオルもすぐには捨てず、それを雑巾にする。
母の雑巾作りの手伝いをした(させられた)ことがあるけれども、ただそのまま縫うのではなく、
タオルの縁の三つ折りに縫われている部分を最初ほどく。
数えられない位の回数を洗濯機でごいごい洗われたものだから、簡単にほどける。
その後はミシンや手縫いで雑巾にしている。
何せ雑巾を毎回大量に作るから、私にも数枚単位で母は渡してくれる。
でも、そんなにたくさん雑巾を使うわけではないから、ある時その年上のお友達に譲ったのだ。
話の途中でその雑巾の話になり、相手から「余っているなら欲しい!」と言われたのが最初。
その方は雑巾を見るなり、「これ絶対に良い雑巾よ!」と言われた。
それからしばらくして相手のおうちに遊びに行った時、至る場所で雑巾を使ってくれているのが
よくわかった。
もちろんキッチンでも使ってくれていた。
その時に
「この雑巾ね、使いこまれたタオルだからすごく柔らかくていいのよ。
新品のタオルで雑巾を作っても、雑巾としての柔らかさはないからかえって使いにくいのよ。
でもこれは柔らかくて握力のない私でも十分に雑巾を絞れるし、本当に重宝しているのよ。」
と言われた。
今まで雑巾なぞどれも同じと思っていたからびっくりした。
言われてみてから再度家でも使ってみると、たしかに柔らかいし、どこを拭くときも拭きやすい。
雑巾があまりにも普通に有能に働いていてくれてたから気付かなかったけれども、
言われてみれば本当にその通りだった。
それからはわたしも大量にある雑巾の1枚を台所でも使うようになった。
使ってみて、本当にあちこち遠慮なく拭き取れるし、汚くなっても気にならないし、床だけではなく
台所全般にも使い勝手が良いとわかった。
そして何代目かわからない雑巾がこの度限界に達して、雑巾交代の時を迎えた。
捨てる前日の夜、それは丁寧にガスコンロ周りを中心に掃除した。
最後のお役目となるだろう雑巾を最後の最後まで使いこんだ。
多分雑巾にとってもそれが本望だろうと思えたから。
昨日の朝、まだ乾ききっていない雑巾ではあったけれどもナイロン袋に入れて心で「ありがとう」と
唱えゴミに出した。
余談だけれども、わたしの中で「雑巾=臭い」だとずっと思っていた。
それは子どもの頃、学校で使う雑巾はいつも臭かったから。
牛乳をこぼして拭こうものなら、ものすごい悪臭が何日も続いて嫌だった。
でも、この雑巾生活にしてから、それはたった1つの手間で解決されるとわかった。
要は、使い終わったら石けんや食器用洗剤をつけて軽くごしごし洗う、そして干す、それだけで
臭いが全くなくなった。
再度雑巾を使う時、雑巾を濡らしても臭いは出ない。
こうして丁寧に使えば雑巾も長持ちするし、気持ち良く使い続けることができる。
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