あげる相手も意中の相手もいない私にとって、バレンタインほど縁のない行事はない。
去年初めて職場の人たちにチョコをあげたけれど、そういうのじゃなくて、本当に楽しみな感じで渡すことは今年も例年のごとく無縁の予定だった。
いつ頃そんなことを考え出したか今となっては忘れたけれど、年明けてしばらくしたら、「今年はミッチーとノムにバレンタインの贈り物をしよう」と決めた。
ノムは私の占星術講座の時のクラスメイトで、ミッチーはノムのゲイパートナーで、2人は一緒に住んでいる。
3年前の最後の占星術講座の時(in東京)、ノムが家に泊まりにおいでよと誘ってくれたおかげで、ミッチーにも出会うことができた。
ノムもミッチーも同年代の男性になるわけだけど、なんなら私合わせて3人とも「独身」カテゴリーに入るわけだけど、こんなにもお互いの性も意識せずにフラットにどこまでも人間としての関係だけを追い求められるなんて、そんな恵まれた関係ってなかなかない。
さらには、感覚や価値観も似ていて、共通の趣味なんかもあって、本当にとても恵まれている。
例えばこれが同年代男性で、性的対象が女性という人なら、こんなに気軽に気兼ねなくバレンタインの贈り物なんて絶対に用意できない。
何狙いなのかと思われて当然だし、手書きの手紙なんか添えたらそれはどんな意味も何もラブレターにしか見えないだろうし、そしてそれがトリガーになって関係が断絶する可能性もある。
そうしたことが何一つないって、なんて自由で素敵なんだろう。
そんな風に好条件がいくつも揃っての今年のバレンタインだった。
*
そもそもは、3ヶ月ほど前の11月の終わりのこと。
妹たちと能登半島を旅した時に、塩田に寄っておいしい手製の塩をいくつか買った。
前にミッチーに新潟の北側にある町で作られている昔ながらの製法の塩をプレゼントしたことがあった。
ミッチーはそれをとても喜んでくれただけじゃなくて、どんな風に使ったかまで後々教えてくれた。
本当に大事に使ってもらえて、そして料理上手なミッチーだからこそ使える塩でもあるから、その能登半島の塩田についてる直売所に2軒寄った時も、真っ先に「ミッチーにあげよう!」と思ってそれで買ってきた。
どのタイミングで送るかは自分のこれだ!というタイミングで送るからいいか…と考えていたことすら忘れていたけれど、それがどうして今回のバレンタインに合わせようかと思ったか、さっきノムと電話で話して思い出した。
日にちをさかのぼって見てみたら、それは1月の真ん中あたりだった。
ミッチーとLINEでやりとりした時があった。
そこにミッチーが、2人の友達が鹿肉だのなんだのとマニアックな肉を持ってきて、みんなで食べた時の様子を書いていた。
せっかくのお肉だから、ミッチーは私のあげたおいしい塩を出したらしい。
そうしたら友達がドバッと残り少ない全部の塩を出してしまって、それがとても残念だったと書いていた。
塩の催促じゃないからね(笑)とも書いてあって、それ見た時に、「そうだ!今こそ送ろう!」と思って、それで近々にバレンタインがあるからその時にしようと決めた。
話は変わってノムの方。
ノムには占星術系のオラクルカードをあげた。
占星術系の絶版本をメルカリで探すようになってから、ある時に占星術系のオラクルカードが出品されていて、私はそれがすごく気になって買った。
日本では多分発売されていなくて、その出品者の方も海外から取り寄せている風だった。
大量に仕入れるのか、全て新品未開封のものをその人は売ってくれていて、普通にプレゼントするのにももってこいだなぁなんて思っていた。
実際に届いたら、私は一発でそのカードが好きになった。
とにかくいい。
すごくいい。
(と言う割に、開封した一回きりしかまだ使っていない( ̄∀ ̄;))
絶対にノムも気に入る!と確信して、それで先すぎるけれど、次のノムの6月の誕生日にプレゼントしようと考えていた。
だけど、今回のバレンタイン企画が急遽浮上して、そうだ、カードを取り寄せてそれでノムにはそのカードを贈ろうと思った。
そして、あとは自分が好きな地元の冬季限定のホワイトチョコパイを買って、それをバレンタインのチョコ代わりにした。
手紙も好き放題に書いて、なんならミッチーには超可愛いネコちゃんデザインのレターセットを使って、ノムにもそれにしようかと思ったけれど、厚さの関係でそれは断念して、代わりに普通のレターセットで書いて、そちらも超自由に思いつくままに書いた。
今思ったけれど、これを匿名性を持たせて説明すると、世にも奇妙なバレンタイン企画ができあがる。
匿名で書いたらこうなる。
「41歳のおばさんが、44歳のおじさんと39歳のおじさんに、オラクルカードと塩田の塩と激辛唐辛子とホワイトチョコパイと可愛いレターセットでの手書きの手紙を添えてバレンタインギフトを贈る」
なんだかはちゃめちゃすぎる。
(↑自分で書いて1人で爆笑した人。)
はちゃめちゃだけど、そんなはちゃめちゃが許される。
用意する時間も楽しかったし、何ヶ月と時間をかけて少しずつストーリーを貯めて1つの物語に仕立てられたのも感動した。
そして、何よりも、ミッチーもノムも超喜んでくれる!!!と1%も疑うことなく、100%信じられるどころか確信して渡せるというのが最高に快感だった。
人へのプレゼントって基本的に気を使うし、相手が気に入る気に入らないなんて考えたら毎晩眠れなくなりそうなくらい神経擦り減るし(もちろんしっかり眠るけれど)、ましてや異性相手ならより一層「喜んでもらえないどころか迷惑になるかも…」とかあれやこれや心配が絶えないことも多々ある。
ちなみに心配は心配に終わらず、本当にケチをつけられたことも現実にあったから、プチプレゼント恐怖症だったりする。
そういうことが一切なくて、なんなら喜んでもらえると確信を持って、何かを誰かにプレゼントできるって、何この世の春!みたいな感覚!!!、と1人で超悦に入った。
これは人生の中でも相当幸福度高い、上位5本の指に入るくらいのしあわせだなぁなんて思う。
しかも高価なものとか希少価値高いものでもない。
どこにでもあるとは言わないけれど、入手困難とかではない。
ありふれた塩なりカードなり、本当にたいそうな立派なものとは違う。
なんだけれども、私はミッチーもノムも笑顔にする自信があるくらいに、渾身のプレゼントだった。
これを奇跡と呼ばず、他に何と呼ぶんだろう。
旅先で誰かを想っておみやげを買えるってすごいしあわせなことだった。
冬季限定のホワイトチョコパイは、常時販売ではなくて、原料が整い次第なのかなんなのか、とにかくタイミングが合わないと買えないということをこの1年で学んだ。
それがタイミングよくきちんとあって、「良き良き」とホクホクした。
他にもたくさんのエピソードがあちこちに詰まっていて、それを私は存分に味わいながらプレゼントを用意した。
過去最高のバレンタインだった。
*
2月3日、家に帰るとわりかし大きな箱がわたし宛に届いていた。
そんな大きな本は買ってないはずだけど!?と思ったら、それはなんとミッチーからだった。
ノムのお母さんの誕生日に向けてミッチーはケーキを焼いて、そのお裾分けとして私にもそのケーキを贈ってくれた♡\(*ˊᗜˋ*)/♡
ミッチーはケーキも超上手にプロみたいに作れる人で、ケーキは絶品だった。
他にも手作りパンや手作りゆずジャム、ユーカリの葉っぱ、そしてノムがガーベラの花を私に向けて描いてくれたカードの裏に2人からのメッセージがついていたものまで贈ってくれた。
それこそ誕生日でもなんでもないのに、予想外の超素敵な贈り物で、超超超感動した!
この贈り物は、余計と私にバレンタインの贈り物を送ることへの気持ちに火を点けた。
*
ノムとミッチー、それぞれから嬉しいお返しをもらった。
ノムは手書きの手紙を写真に撮って送ってくれて、ミッチーもLINEで素敵なメッセージをくれた。
ノムが教えてくれたことで、ノムは今日午前中出かけていて、家に帰って車を停めているとちょうど郵便局の人がミッチーに荷物を手渡していて、それ見てノムはすぐに「これ、ぶっしーだ!!ってわかった」と言っていた。
私は今回のことは一切知らせていなかったから、まさかノムがその光景を見ただけでそんなことが瞬時にわかって、すごく驚いた。
テレパシックな関係とノムは言っていたけれど、本当にそうだった。
そして、カードのおかげで後日のいつか私とシェアすることが確定していて、ノムはそのことを「未来のよろこびまで確保されていて」と言ってくれた。
本当の本当に嬉しかった。
そっか、単に渡して終わりじゃなくて、それを未来のいつかまた共有するひとつのものとしての喜びもあるんだと私も認識できた。
ミッチーは夜ごはんが終わってから、律儀に塩の感想を教えてくれた。
何この素敵な贈り物の続きは!?
贈ってる私の方が贈られてる。
確実に違うものをもらえてる、受け取ってる!
誰にも自慢できないから、仕方ない、このブログでいいでしょ?いいでしょ?と発信するしかない(笑)。
誰かに自慢したい、大真面目に。
おひとり様人生の中で、色んな行事の中でも特に無縁なのはバレンタインだと私個人は思っているけれど(クリスマスは1人でも十分楽しめるから私は気にならない)、まさかこんな風にバレンタインを堪能できるなんて、誰かと分かち合えるなんて、そんな日が来るとは思ってもみなかった。
そして、ノムもミッチーも私との出会いに心からの感謝の言葉を贈ってくれて伝えてくれた。
自分が生きてていい場所、自分の存在が肯定される場所、そんな場所をもらえるなんて、これは人生の中でも特大ご褒美になる。
本気のSweet Happy Valentineになった。
0 件のコメント:
コメントを投稿