朝、目を覚ますのにすこしの時間読書をする習慣がある。
時間にして、たいてい5分10分だ。
今日もいつもと同じようにぱらぱらと本を読み進めた。
今日の本は、『台所のニホヘト』というスタイリストの伊藤まさこさんのエッセイだった。
彼女の台所でのこだわりや習慣が紹介されている。
とある一文に辿り着いた時、まさか彼女がわたしの知っている人と全く同じ癖を持っていて、
全く同じ思考回路でその癖を意図的に日常に取り入れてるとは。
わたしは最初その癖を知った時、ある意味衝撃だった。
すごく素敵な考えの素敵な癖だった。
同じ料理をするでも、断然楽しさが違うだろうというものだった。
もう目の前にその人がいなくても、ふと目に浮かぶ光景だ。
四捨五入するともう10年になる。
10年近く前のことでも、たった一行二行の文章で、一気に過去へと遡る。
わたしが憧れたのは、その生き方と人生に対する姿勢だったのかも知れない、
と今さらになって思う。
人生に影響を与えた人、まちがいなく5本の指に入る。
これから先何十年と生き続けたとしても、やはり5本の指のどこかには入ってる気がする。
失ったものの大きさに何年も苦しんだ。
元通りにならないものなのに、奇跡を願った。
だけど今日思い出した時、わたしははっきりと変化を感じた。
すごい素敵な癖は、多分一生忘れない。
でも、もう苦しくもなければ、奇跡も願わなければ、とても良い意味であきらめがつき、
そしてわたしはわたしの人生を生きよう、とはっきりと自分に誓っている自分が今いる。
今、外は台風の影響でまとまった雨が降り続いている。
これを明日書こうかとも思った。
明日ではなく今日書こうと思ったのは、
この雨がすべてきれいに洗い流してくれそうな気がしたから。
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