真ん中の鳥のワンポイントもお気に入り
(♡´艸`)♡
「ご愛用ください」
お釣りを受け取った後、肩掛けのかばんを手渡してもらいながら、綺麗な女店長さんに言われた言葉だった。
良い意味で立つ店舗を間違えたんじゃないかと思うくらい綺麗な店長さんで、デパートの化粧品売場とかエステサロンとかにいそうな、本当に小顔でスタイル良くて綺麗な女性にそう言われて、ありがとうございますと言って受け取ってその場を後にした。
人生で初めて、買った商品を「ご愛用ください」と言われた。
これまでだっていくつかカバンは買ったし、他のものももちろん買ったし、もっと高いカバンだって買った。
だけど、「ご愛用ください」なんてただの一度も言われたこともなければ、これから先言われることもないと思う。
これが仮に高級ブランドのヴィトンやGUCCIやCHANELなんていうタイプの店でも言われないだろうと思う。
本当に素敵な買物で、そしてペンジュラムがゴリ押しというか「買え買え」と言うのも頷けた(買え買えとは言わないけれど、ずっと買うにYESだった)。
不思議な買物だった。
そもそも私はかばんを買う予定は1ミリもなかった。
思い出した。
何でその大型のショッピングセンターに行ったかと言えば、メガネを探しに行った。
今愛用しているメガネの見た目(外観)に不具合が出てきたから、それでメガネを探したのが最初だった。
ついでだから、フラフラと広い店舗の中を歩いた。
気になる店があれば入ってチェックした。
そんな折に、鞄屋さんを見て、「あれ?ここ閉店したんじゃなかったっけ?」と思った。
入るのは二度目か三度目。
お高い店だから買う気もなければ、本当に少し見たらすぐに出る、完全なウインドーショッピング目的で立ち寄った。
小さな店舗を少し見ると、「50%OFF」の貼り紙が見えた。
こういう時のOFFの商品で「これ素敵!」なんてのはまずない。
だけど自分の性なのか何なのか、「50%OFF」と見たらチェックせずにはいられない。
何の期待もなく見たら、あれ?えっ?超好き、超好み、超タイプ♡\(*ˊᗜˋ*)/♡みたいな、肩掛けかばんが目に飛び込んできた。
色味も大きさもデザインもなんかとても良い。
次は「でも買わない、買う予定はない」と思いながらも、フラフラとかばんに近寄って手に取って見た。
やばい、近寄れば近寄るほど好み(♡´艸`)。
美人店長さんとは違う(その時は美人店長さんは不在)、これまた可愛い子ちゃんの店員さんがやってきて、かばんの中にお手持ちの財布とか入れてみてもいいですよ〜などと言ってくれ、遠慮せずに入れてみた。
幸い、すべての必要最小限のものたち ー 財布、携帯、ペンジュラム・オルゴナイト・名刺お守りの入った巾着、ティッシュ、ハンカチタオル ー とあって、全てを入れてみた。
入る。
可愛い子ちゃん店員さんが「長さも変えられます」と教えてくれた。
長さは問題なかったけれど、そうやって調節できるのも良かった。
Suicaを入れる場所もある(東京遠征を想定)。
実際に肩にかけて鏡で見て、いいなぁ欲しいなぁなんて思い、ペンジュラムは出さず巾着をペンジュラム代わりにして聞いて買うにYESで、どうしようかと思った。
半額になった値段は諭吉1枚に収まるのも良くて、値段にも惚れぼれした。
連日残業でお金を下ろせなくて、ようやく下ろしたまとまった諭吉ご一行様が財布の中にあるのもさらなる迷いを生んだ。
これがお金がなければ絶対に買わないのに、うっかり中途半端にお金があって、さらに迷いは増した。
そこで私は、今日1日だけの取り置きをお願いした。
二つ返事でOKをもらって、名前や電話番号も聞かれずに不思議に思ったけれど、そもそも1日1つでもバッグが売れたらいい方だろうみたいな店だから、それでわかるのかな…と思った。
そして可愛い子ちゃん店員さんがラストまでの店番なのかもしれない。
とりあえず取り置きをお願いして、私はその後真っ直ぐに人目にあまりつかないベンチを探した。
ペンジュラムに聞こうと思った。
ペンジュラムはYESと言う。
何回聞いてもYES。
そうだ!と思って、ずっと買う予定の肩掛けかばんのページをiPhoneで見た。
それは2年前の2018年の春、金沢の妹一家を訪ねた時に、百貨店の催し物で売られていた肩掛けかばんだった。
一目惚れしたものの、かなり高額なそちらのかばんはいつかお金に余裕ができたら買おうと思ってずっと狙っていた。
そんなことは、ニート生活=極貧生活を送ってしばらく忘れていたけれども、今の仕事を始めてからまたそのかばんを探して、購入先もわかって、タイミングが来たら買おうと考えていつもiPhoneのネットで見れるようにしている。
ところが不思議なことに、私はお金ができてからもどういうわけかそのかばんを注文せずにそのままになっている。
毎月のように眺めて、そうだ注文!と思うのに、なんだかよくわからないけれど注文をしないこと数ヶ月。
ということに現在進行中になっているそのかばんの画像を見た。
それもやっぱり買うは買う。
だけどそれを見て初めて「シーン別に使い分けたらいい」と思った。
取り置きのかばんは、定価なら絶対に買わない。
けれども今回みたいに半額となったら欲しい。
ネット上のずっと買うことに意欲的な方は定価でも買う。
だけどこちらはちょっとしたオシャレなシーンでは使えないこともある。
反対に取り置きかばんは、飲み会とかもう半永久的に体験しないかもしれないデートとかに使えそう!と思った、もちろん普段使いもするけれど。
ここにきて初めて「2つかばんを持ってもいいかもしれない」と考えた。
2つかばんを持って、それでシーンで使い分ける。
それありだ!と思った。
のと同時に、取り置きかばんはそこまでの価値があるのかも考えた。
諭吉1枚が旅立つわけで、それに見合うものなのか、ただの衝動なのかしっかり見極めようと思った。
そこで私はもう1つ大きな面積の方の鞄屋に立ち寄った。
田舎の店だからそこまで品揃えは良くなくても、そこそこのものは置いてある。
同じような値段の同じようなクオリティのかばんを探したら丁度あった。
「日本製」のそちらのかばんは、さすが「日本製」で本当に良かった。
ものすごく良い!って思った。
けれど、それがある意味決定打的な感じになった。
日本製のそのかばんは今後も定番シリーズでずっとありそうなのと、もう少し年齢が上がってから身につけることの方が似合いそうと思った。
反対に取り置きかばんは、今の40代前半だからこそ身に付けられると思った。
普段年齢なんか気にならないけれど、40になるかならないかの辺りから、身に付けるものに関して色々と制約が出てきた。
色使いとか形がやたらと難しい。
若作りをする気はないものの、かと言って一歩間違えるとやたらとババア感が出るのとで、すごい選択が突然難しくなった。
服なんかは顕著すぎる。
どの服を着ると可も不可もない、とりあえず自分と服とが馴染むのか、その辺りのさじ加減が難しくなった。
それはかばんなんかもそうで、今の年齢的外見だからイケるものと、ちょっと若者過ぎたり反対に年寄り過ぎたり、色々アンバランス過ぎて、センスなどない私からすると突然訪れた外見的なモデルチェンジについて行けなくて「これはどうしたらいいんだろう?」なんて思うことも出てきた。
そんなこんなを思った時、今の私やこれから40代半ば辺りまでの自分なら、その取り置きかばんを楽しくオシャレな気持ちで持てるような気がした。
ペンジュラムに買う買わないを聞くと、やっぱり買うになった。
なんとなくそのかばんは、私に色んな楽しみをもたらしてくれる、そんなかばんなのかもしれない…と思った。
私はまた元の店に戻った。
可愛い子ちゃん店員さんはいなくなっていて、冒頭の美人店長さんがいた。
可愛い子ちゃん店員さんの姿はなく、ちょっと待ってみようと思った。
しばらく小さな店内を見た後、もう戻ってこないのかもしれないと思って、その後私に素敵な言葉をかけてくれることになる美人店長さんに声をかけた。
あのかばんの取り置きをお願いした者です、と言ってもう一度試着ならぬお試しをさせてもらった。
断りを入れてから、もう一度財布をはじめとする身の回りのものたちをかばんに入れて肩から掛けて鏡で確認した。
買おう。
心は決まった。
美人店長さんが形は使っていくうちに馴染んでくるとか、色も変化するとか、いくつか革特有の未来図を教えてくれた。
よくよく考えると、多分このかばん、他にはそんなに出回ってない気がする…と思って、それもまた私にはツボだった。
私は人と同じ物よりも、オンリーワンな世界に1つのものとかの方が好きだったりする。
これは後から調べて知ったことだけれど、私が今回手にしたデザインは、もう取り扱い自体がないもので、唯一某通販サイトでラスト1があるだけだった。
レジに運んで行って会計を終わらせて、それで最後に美人店長さんが口にしたのが冒頭の
「ご愛用ください」
だった。
本当にとっても素敵な買物になった。
生涯を通じて、「ご愛用ください」と言われる買物にはもう当たらないかもしれないな…と思うのと同時に、そんな素敵な言葉をかけてもらったかばんを買うことができて大満足だった。
その夜ノムと電話した。
この話もした。
ノムはこの「ご愛用ください」の言葉をこんな風に解釈して私に伝えてくれた。
「自分に与えることを許可する。
そして愛用するというのは、肉体を持った人生を楽しむ。
そんな風に聞こえるねえ。」
ノムの解釈はとても素敵だった。
そしてものすごく納得した。
私は自分に与えることを制限しがちで、そしてその行為すら忘れてしまうことが多い。
お金が限られた生活を送ると、それはそれで暮らせるし、普段の物欲の無さがそういう時はものすごく助かるのも本当だけど、その時の感覚に近いまま今も普段生活しているから、何かを買うことをほぼしていないことに気付いた。
買うのは飲み物(アルコール飲料)とつまみになる菓子類、仕事で食べる小腹用のものとあとは日用品。
それ以外の買物を多分していない。
久しぶりな自分への買物は、気持ちを満たしてくれただけじゃなく、未来の楽しみも自分の元に運んできてくれた。
自分に与えていいんだ。
欲しいものを、心が躍るものを、自分のために用意していいんだ、そう自然に思えた。
なんなら4連休の初日、イケメン社員の硬派さんと元社員の可愛い子ちゃんと私とで飲み会をする。
その際、ホテルに予約をしていて、時間を気にせずに飲めるのも嬉しいし、翌朝の朝食も楽しみで仕方ない。
おいしいごはんのホテルを選んで、今回は市民限定プランを利用して半額の格安な価格で泊まってこれる。
こういうのもいいなぁってノムと話した。
羽を伸ばして、のんびりと過ごす時間。
4連休に相応しい、中身の濃い時間になりそうで、今から楽しみで仕方ない。
そんな風に、自分に与えることを覚えた今年の夏。
新しい体験を、それも手を伸ばせばできそうな、でもちょっとだけ勇気が必要…みたいな体験を自分に色々与えてみようと思う。
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