2016年5月14日土曜日

甦(よみがえ)るもの

昨日3~4年ぶりに、前職でとってもお世話になった先輩に会ってきた。

まだ当時の職場にいるかわからず、昼下がり先輩が最後担当していた所へ行ってみた。

駐車場には見慣れた車。

歓迎ムードで招き入れてくれ、仕事前の時間を少しいただきおしゃべりし、夜ごはんを食べる約束

を取りつけて一旦は別れた。

絶対にやりたいだろうなぁと思い、夜はオラクルカードと呼ばれるものを持参した。

「オラクル」とは英語でいうところの「予言」に当たるらしい。

基本的な使い方は、その時にしたい質問をしてそのヒントをカードからもらう。

それを持参するにあたり、久しぶりにカード入れのベルベットのような生地の真紅の巾着を出した。

そもそもそのオラクルカードも、自分で購入したのではなく、友達から譲り受けたものだった。

友達はいくつも持っていても自分では使わないから、ぶっしーちゃんの好きなものをあげると

持っている全てのカードのセットを目の前に出し、その中で一番好きなものをいただいてきた。

一番好きなものと言っても中身はどんなか全然知らないために、一番ぴんときたものを選んだ。

そしてカードを保管する用の巾着も一緒にプレゼントしてもらった。

ここ最近は最後いつ使ったのかも思い出せない位に使っていなかったために、巾着にたくさん埃が

付いていた。

ガムテープを適当な長さに切り、巾着についた埃を取り除いた。

ほんの1~2分の作業で巾着はあっという間にきれいになり、ピカピカと光沢を放ち始めた。

ベルベット特有の光沢を取り戻した生地は、本来の持ち味を存分に発揮していた。

一瞬で甦った。

一通りの食事を終えた後、先輩は喜んでカードを引いた。

カードも久々に人に触ってもらってさぞかし嬉しかったことだろうと思う。

しかも、その先輩がどれだけ丁寧にカードを取り扱ってくれるのかを知っているから余計とそう

思えた。

基本的にわたしは、わたしは引かず質問者自身からカードを引いてもらう。

そちらの方がなんとなくより本人の今の状況を反映したカードが引かれるように思うから。

ちなみにカード占いを生業にしている友達いわく、質問者でも占い師でもどちらが引いても基本は

OKと言っていた。

たしかに、その友達からわたしのために引いてもらったカードはこれまで一度も外れたことのない

どんぴしゃのヒントがやってくる。

多分わたしは、質問者自身で引いた方が納得する=わたしが引くことで余計な誤解や異議を

招きたくなくて、それで本人に引いてもらうスタイルを取っているのもある。

昨日の夜も、先輩は実に楽しそうに興味深そうにカードを引いた。

カードの引き方は1つじゃないから、引き方も提案し、そのすべてを試した。

1時間以上カードを引いていたと思う。

カードが伝えてくるメッセージは本当にすごいと思う。

10数文字で書かれた1行の文章で、先輩は「何を言われているのかすぐにわかった」と言って、

その言葉の奥から導いた自分の話を聞かせてくれた。

先輩は興味深そうに話を聞いてくれるもので、わたしが並んだカードから感じたこともそっくりその

まま伝えた。

たった1つのツールが、実にたくさんの会話を生み出し(先輩は、ツールなくても延々とおしゃべり

できる相手ではあるけれど)、そこからさらに深い話に突入していく。

ガムテープで巾着をきれいにした時間を思い返す。

ただぺたぺたとガムテープを巾着に付けては離しを繰り返しただけだった。

見栄えが良くなり、それを好きな人と共有した。

好きな人と共有されたものは、さらにさらに嬉しい気分でいるのじゃないかと思った。

部屋の隅っこで埃をかぶったまま持ち主に放置されているよりも、きれいにされそして本来の使い

方で存分に使われ、そっちの方がものそのものも喜びに包まれるのじゃないかと思う。

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