2018年3月19日月曜日

トイレ掃除戦争

今の職場は毎週水曜日掃除の日になっている。

事件は起きた。

というより起こした。

発端はこうだった。

職場には3つの男性トイレがある。

1つは特定の男性がいつも担当してくれていて、残り2つは別の男性たちがするか、男性が出払っていてする人がいなければ私たち女性陣で手分けしてやることになっている。

最新型のトイレを導入しているとは思えないぐらいにトイレが汚い。

本気で発狂レベルで汚い。

私はたかが数ヶ月の勤務で何回そのトイレたちを掃除したことだろう。

誰も男性がいない時は仕方ないし、現場仕事優先だから手伝ってあげたいとは思わなくてもできない時はお互い様と思って普通にする。

ところがこの間の掃除は違っていた。

手の空いてる人が2人もいながらにして、見ていると一向にする気配がない。

以前は物置のようになっていた部屋が応接室のような感じにここ2~3ヶ月でなって、私は廊下と階段のついでにそこも掃除してそして様子をうかがっていた。

でもだーれも来ない。

そのうち誰もいなくなって、それで私は仕方なしに1つ目のトイレの掃除を始めた。

誰かがくれば、もう1つお願いしようと思った。

だけど待てど暮らせど誰も来ない。

私はそこでもう策を変えた。

ここは一気に2つやりきって、その上で今日は物を申そうと決めた。

男性の長たちに(実際いた2人は長たち)、トイレ掃除をどうでも水曜日でなくていいから男性陣で当番制でやって欲しいと言おうと思った。

その時の私はもうキレ始めていた。

トイレ掃除に怒っていたわけじゃない。

タバコを吸う余裕があるくせしてトイレ掃除をしようともしないその態度にむかついたから。

だから2つやった上で、ましてや普段何も言わない私が突然声を上げるのだから絶対に相手はびびるだろうし、それはみんながいる前で言って誰も聞いてませんよみたいな状況にはさせないぞ!ぐらいな感じで案を練り始めた。

そのことを途中トイレグッズを取りに事務所に行った時、一番仲の良い女性に言った。

しばらくすると彼女もトイレ掃除をしている私の元へ来てこんな風に言ってくれた。

「ねぇ武士俣さん、武士俣さん1人だけが悪者になるのは絶対にだめだよ!

これみんなの問題なんだから、武士俣さんが全部かぶらなくていいんだよ!」

私はその申し出も嬉しかったけれど、月末にはやめるし、そしてこれからも残る他の女性陣の誰かにそれを言わせるのも忍びなかった。

だから私が言いますと言った。

そうしたらちょっと他の人とも相談しようということになって、一番年配の女性とも相談した。

結局はその年配の方が言ってくれるということになって、私は申し訳ないばかりだった。

「いいんだよ。これは誰かが言わなきゃいけないことだったし、そして本当に私たちも全員男性陣に何とかして欲しいとずっとずっと思ってきたことだから、良い機会だから言うよ」

と言ってもらえた。

武士俣さん2つも掃除してぶちぎれてましたから!と言って下さいと笑いながら伝えて、あとは事の成り行きに任せた。

私が帰る1分前ぐらいにその女性は「○○○長、今いいですか?」と自分の席に着いたまま声を上げた。

「あ、いいですよ」

「あのですね、下の男子トイレなんですが、どうでも水曜日とかじゃなくていいので男性陣で相談して当番制とかにしてもらって掃除を担当してもらってもいいですか?」

「あ、いいですよ!そこは僕の担当ですからやります」

「じゃあお願いします。

今日すっごい汚かったみたいなんで。

そのすっごい汚いトイレを武士俣さんが2つもしてくれて、それで大変だということで、今後は男性陣にしてもらった方がいいだろうということで。

じゃあ来週からはよろしくお願いします」

こんな風にとてもスムーズに話が終わった。

主要メンバーの男性たちもいた。

私はその女性の耳元で「ありがとうございます」と言って、全体にお疲れさまでしたと言いながら事務所を出ようとした。

そうしたら長が

「武士俣さん、今日はトイレ掃除ありがとうございました」

とわざわざ言ってくれた。

実は長とは先日の飲み会の席でトイレ掃除についても話をしていた。

だからその時の感じを思い出して

「いえいえ。

ほんっと、今日は何の罰ゲームかと思いましたよ!特に便器の周りが超やばいですから!」

と返した。

「いや、これからはきれいに使うようにみんなに周知するので!」

と言ってくれたけれど、

「いやそれは大丈夫です。今後はみなさんで掃除してくれるから、どう使われても大丈夫です!」

と笑いながら言って帰ってきた。

飲みの席で男がトイレをきれいに使う、まして座ってするのは難しいと私に説明してくれていた。

そして立ってする時もきちんと便器の中に納めるのが難しいことも言っていた。

何でもいいけれど、掃除さえしてくれたら何でもいいよと返していた、その時も。

来週からのトイレ掃除が本当にどうなるかなんてわからない。

だけど穏便に話が終わって(ちなみにこの男性トイレの掃除については積年の課題だったらしい)、誰も嫌な思いをせず(多分)、とりあえずの方向性が出たのはとても大きい。

今の職場で私がした仕事の中で一番の功労かもしれないと思うほどだった(笑)。

私はこれもオルゴナイト効果のような気がしてならない。

実は女性陣で過去にも同じように当番制の導入を訴えたことがあったらしい。

だけど定着どころかそのようには一度もならなかったようで、現状のような状態がもう何年も続いていたとのこと。

そして私が言うと言った時、私は本当に言うのは構わなかったし誰かが言わなきゃいけないことだし、さらにはもういなくなるから本当に痛くもかゆくもなかった。

そしてそれで他の女性陣の負担も軽くなるなら、喜んで言います!ぐらいな気持ちだった。

だけどそこで私1人が悪者になるのは良くないと言ってくれる人が出てきたり、私が代わりに言うから大丈夫と言ってくれる人が出てきたり。

本当にありがたいばかりだった。

そういう他の人たちの心くばりが本当に本当にうれしかった。

そして最後に長は私にお礼まで言った。

当然かもしれないけれど、私はこの人がわざわざそう言ってくる時は相当な時じゃないと言わないのは普段の様子を見ていて知ってるから、だから余計とうれしかった。

そして誰も嫌な思いをしなくて済んだのはもっと良かった。

私は誰かが嫌な思いをしてまで何かを発言する気はないし、その負担の部分を誰かにさせるのも好きじゃない。

それなら自分で言う方が気持ちが楽だし、適当にやれる。

驚くぐらいに全てがスムーズで、そして硬い感じのお願いではなくきっちりとする中にも笑いが生まれるぐらいなのが良かった。

ということでトイレ掃除戦争は幕を閉じた。

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