2018年9月4日火曜日

手持ちの服で乗り切る1週間

過去のノートをぱらぱらとめくって見ていた。

派遣2社目となるところに勤めた当時の記録が面白すぎた。

1週間通った後のその1週間の振り返りにこうある。

「手持ちの服で1週間乗り切ったこと」

その2社目は、本当に大きな会社で、CMとかも言われてみたら流れてたかも…というようなところだった。

当時はテレビのない生活をしてたから定かではないけれど、ポスターを見て「なんか見たことある」とは思った。

20代の頃、withとかmoreとかいう名のファッション雑誌を時々見ていた私は、いつも不思議な気持ちで見ていた。

「OL着回し術」みたいなページが必ずあって、どうやって持っているアイテムだけで1ヶ月着回すかみたいなもので、みんなそんなに服に気を使わないとなんだと別世界のことみたいにして見ていた。

当時の私は、車通勤ということもあって、毎日ジャージで出勤してたし、外に出る用事がある時用に自分のたんすの引き出しに普段着を1枚入れて置いてた。

夜勤があったから、シーツとか夜勤道具とかあって、その職場はロッカーの代わりに1人1つのたんすの引き出しが当てられていた。

子どもの汚物を触ることもあれば、どこでどんな異常事態が発生するかわからなかったから、外に出る直前までジャージで、出る時だけささっと着替えていた。

時々仕事終わりに付き合ってた人や友達と会うことがある時は、やっぱりそのストックの服に着替えるだけで、基本はジャージだった。

そんなだったけれども、卒業式や入学式にも参列する関係で、私はそのための礼服を買わざるを得なくなって用意したこともあった。

だから着回し術なんてのは、果てしなく遠い世界の話だった。

塾の時はパンツスーツが必須で、年頃の男の子たちもくるから胸の開いたブラウスとかは禁止されていて(スカート禁止も同じ理由)、まぁ本当に色気ゼロのすごい格好で日々過ごしてた。

派遣1社目は、服装自由でGパンさえもOKだった。

そんな私が、派遣2社目にして、人生で初めて「オフィスカジュアル」の服装コードのある会社に行った。

そこはもう本当に雑誌から飛び出したようなファッションをしている若い女性たちで溢れ返っていた。

しかも20〜30代の女性しかいない部署だった。

男性も同数ぐらいいたとは記憶しているけれど、きらびやかな女性たちが多くてとにかくビックリした。

しかも背が高くてめちゃくちゃスタイルの良い人たちが何人かいて、モデルさんみたいな体型の人たちが膝上のタイトスカートを履くみたいな、男の人たちから見たら鼻血ブーみたいなところだった。

同性から見ても「エロっ!」と思うぐらいに、本当にきれいでドキドキした、真面目に。

そんな部署だったから、持ち合わせの服で1週間やり抜くというのは、すごい奇跡的な快挙だった。

記憶が曖昧だけれど、私はそこに通うためだけに何枚か服を新調したような記憶がある。

所詮私だから、そんなきれいなお姉さんのフェロモンムンムンと放つみたいなことは皆無だったけれど、多分人生である意味一番服装に気を使ったかもしれない。

だから、「手持ちの服で1週間乗り切ったこと」は、本当に記録に残すぐらいの快挙だった。

その数ページあとに「会社に対して思うこと」として、当時の印象に残ったことも書かれていた。

そこで私はコールセンターの仕事をしていて、私が受ける電話の9割は取引先の営業の人からの電話だった。

内部を見て本当に日本の大企業のグロさを見たけれども、その中でも時々とても素敵な人に当たることがあった。

ノートに書かれていた記録によると、営業の人からしたら法人と個人なら個人に近いお客さんのことでの相談だった。

その営業の人からしても、小さな売上なのは間違いなかった。

月数千円の売上から月数百万円の売上まであるサービスだったから、その数千円のお客さんはどう考えても大口顧客じゃないのは明らかだった。

それでもその営業の人はその数千円のお客さんのために段取りをして、自分が今できることを最大限にやっていた。

当時のコールセンターに勤めたことで、より一層電話越しの相手の雰囲気を感じ取る感覚が強化された。

声質やまとってる空気で相手の人柄がある程度見えるような感じだった。

だから言葉遣いはきれいでもめちゃくちゃ性格悪い人もいたから、言葉じゃないなということを学んだのもその時だった。

その営業の人は、さりげない言葉の節々に人の良さが滲み出ていた。

どんな人だったかは全く記憶にないけれど、記録を見るとその経過も書かれていて、その人が営業としてだけではなく人としても素晴らしいことがわかる。

その人が放った言葉をいくつか書き留めているけれど、その人が売上じゃなくてお客さんの人生にきちんと向き合おう、そのためにできることをしようというのがすごくよくわかる。

そういう仕事をする人と関われたことは、今思い出してもすごく良かったなと感じる。

ちなみに余談だけれど、一般的に離職率高いとされるコールセンターの仕事だけれど、私は4つのコールセンターに行ったけれど、どこも楽しかった。

私が短期で辞めたのは、自分の生き方が定まらなくて、それで期間の定まった仕事だけを選んでいたからそれで数ヶ月だっただけで、別に仕事自体は全く嫌ではなかった。

そして、コールセンターに勤めてる人たちの中には超プロ意識の高い人たちもいて、最初の2つの派遣でそういう人たちに出逢わせてもらえたから、私の中のコールセンターのイメージは世間のものとは全く違うものになった。

自分が取る1本の電話で、電話をかけてきた人が何か解決できることだけに集中する、と教えてくれた人がいた。

まさに有言実行の人で、その対応力は半端なく高かった。

その人の電話を聞くと、聞いてるだけで癒された。

ちなみにそこでのコールセンターは、特定の人しかかけてこない番号だったから、その素敵な人のファンも何人かいて「○○さん今日います?」と聞いてくる人までいた。

一緒に仕事をしてたらわかる。

私もその人に応対して欲しい。

というようなことを思い出しつつ、今ノートをぱらぱらとめくっている。

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