2018年7月26日木曜日

駅までのショートストーリー

ホロスコープ講座のクラスメートに1人だけ男性がいる。

今回帰り道が駅の構内まで一緒だったからそこまで並んで歩いた。

その人は講座の後のおしゃれカフェでの席で、ゲイであることをカミングアウトされた。

ゲイであることをカミングアウトしたのは話のついでで、その前後は自分のホロスコープの負とされる部分がうまい具合に抑えられるのはパートナーのおかげで、ちなみに僕ゲイなんですけどね、という具合だった。

だから駅まで並んで歩いた時に、私はゲイである彼にそのことを聞いてもいいかと聞いてからいくつか質問をした。

こういう時ははっきりと言う。

まどろっこしい言い方や変な気遣いをすると相手をより不快にすることもあるから、とにかく直球勝負で自分の気持ちを正直に伝える。

単純に私はゲイの人たちに興味があること、理由は普通と言われるような生き方ではない道を歩いているからその目から見える世界に興味があること、でもそういう人たちになかなか知り合えないから、ちなみに彼には本人カミングアウトで知ったゲイの人は彼が人生で2人目であること、本当に個人的な興味関心ゆえの質問だけれど聞いても大丈夫かを聞いてから話を聞いた。

嫌な顔1つせずいいですよと言ってもらえた。

話を聞いて感じたのは、その人の生き方と在り方に対しての強い憧れだった。

ゲイであることに対しての質問の前に、その人の生き方を少し聞いていた。

その人は大人になってから絵を描き始めた人だった。

その描くきっかけがとても面白く、そしてそれは私が何年か前にコーチングのコーチと一緒に見た、実話を基にしたあるドキュメンタリー映画の話と重なった。

映画の中で、10歳にならない子どもを2人持つ女性が出てくる。

ある時、家族4人で海やプールの付いたリゾート地へ休暇を楽しむために出かけた。

妻であり母であるその女性は、夫が2人の子どもを見てくれてた時間、結婚して以来なのか、もっと前の時間以来なのか、昔好きだった絵をたまたま描いた。

ホテルに絵画道具があったのか、家から持ち込んだ子どもの絵の具道具だったのかは忘れた。

彼女は絵を描いてくうちに自分の中の感情が湧き上がるのを止められなかった。

描いて描いて描きまくり、手が止まらなくなった。

そして自分が本当は絵を通して自分を表現したいと思っている自分に気付いて、でもそれをしたら家のことも子どものことも適当になってしまうんじゃないかとか、色んな不安が押し寄せてくる。

彼女は自分の本当の気持ちと今の生活や立場の両立に悩み出して、そして様子のおかしい妻を見て夫がどうしたのか夜話しかける。

最終的に妻は夫に自分の気持ちを伝えて、今回だけ数日自分1人だけホテルに残り、子どもたちを夫に見て欲しい、必ず帰るから、だけど今だけはどうしても自分の内面に向かうための時間が欲しいと訴えた。

夫は了承し、そして彼女だけがホテルに残り、残りの時間も彼女は絵を描き続けた。

ひたすら描いて描いて描きまくって、それで約束した日家に帰る。

そこから彼女は、描くこととこれまでの自分の家庭人としての仕事の両立を始めるみたいな内容だったと思う。

その描いて描いて描きまくるシーンと、その彼が絵を始めた時のシーンとが重なった。

その人は子どもの頃はさっぱり絵になんか興味がなかった。

むしろ図工は5段階の2にマイナスが付いていたと言う。

だけどある時、自分の中にあるものを吐き出すために紙に何かしらの筆記用具を使ってそのまま手の動くまま心の動くまま描いたと言う。

そうした時に「これだ!」と感じて、そしてどんどん絵を描いたのが最初とのこと。

個展を開くぐらいにまで現在はなられているそう。

そんな彼が話してくれたゲイのパートナーの人の話がとっても良かった。

「パートナー」と呼んではいたけれど、パートナーと言うよりもっともっと強い気持ちを抱いて一緒にいられるのは話を聞いていて感じた。

かれこれ10年以上一緒にいるのだと言う。

私が、1人目のゲイの人から、ゲイ同士で長く続くカップルは珍しいと言っていた話を出して、私は詳しくはわからないけれど、普通に10年と聞いてビックリしたとそのままの感想を言った。

男の本能的な性的欲求の高さや浮気心じゃないけれど、元々種子を残そうという生物学的なものも相まって、とにかく長く同じパートナーといるのは珍しいと言っていた(ということまではさすがにその人には言わなかった)。

そうしたら、その人も全く同じ説明を私にしてきて、これはゲイの世界ではメジャーな考え方や価値観なのかもしれないと思った。

そう前置きした上で、それでも今の人と長く続いてる理由は、聞いていたら性欲よりも遥かに人間関係そのものの理由で私は感動した。

パートナーは本当の本当に大切な人で失いたくない、絶対に大切にしたい、そう言ってた。

その人に出逢うまでに関係があった人たちとは、別に別れても次にいけばいいと思っていたし、ダメならダメでいいかとなってたとのこと。

だけど、その人は最初から違っていて、付き合うまでも自分はすごく大切に関係を作るようにしていたし、適当に扱ってはダメだと感じたらしい。

普段ならすぐに関係を始めるみたいな言い方をしていたけれど、今のパートナーに関しては慎重に進めたとのこと。

相手もそうだったんじゃないんですか?と聞いたら、相手もそんな風でいた感じはありました、と言っていた。

自分自身は突然仕事を辞めたり、絵を描き始めたり、とにかくハチャメチャだけれど、それでもどんな時も何も言わずに自分を見守ってくれてる、本当にすごい人だと思ってる、と話してくれた。

そんな風だから、パートナーは最初から何も変わらずにありのままの自分を大切にしてくれてる、自分もとにかく相手が大切なんだと教えてくれた。

ゲイかノーマルかなんて関係なくて、普通に自分の大好きな人大切な人を大切にするという、人間が人間として生きるそのものを表現するかのごとくパートナーと生きている人だった。

その関係性がものすごく羨ましくて仕方なかった。

たかが15分ほどの移動でしかなかったと思うけれど、私はその人の話に惹きこまれた。

絵の話もパートナーの話も良かった。

相変わらず私は、人からその人の人生模様を聞くのが好きだなと感じた。

その人しか知らない人生があって、その人しか生きて体験できないものがある。

それはみんな1人1人がオリジナルで、そしてそのオリジナルを貫いている人ほど面白い。

さらにその話の中で自分もいいなと思ってることなんかとの共通点を見つけると嬉しくなる。

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