2015年2月15日日曜日

卵ストーリー

徒歩圏内のスーパーで日曜の朝市が熱いところがある。

卵1パック200円位する昨今、そのスーパーは日曜の朝市の時だけ98円で売り出す。

しかも白卵じゃなくて、赤卵を98円で売り出す。

というのを、夏働いていたところで知り合ったSさんに教えてもらった。

(Sさんの話:http://viva-vivir.blogspot.jp/2015/01/blog-post_21.html

いつだったかの金曜日、Sさんは自分の家からそのスーパーのチラシを、

わたしに見せるためにわざわざ持ってきてくれた。

Sさんの住んでいる区とわたしの住んでいる区はすごく離れているけれど、

同じ系列のスーパーだから、チラシはどこも一緒よ~と言って、

これが安いとか、あら今回はこれがお買い得ね、なんて仕事中に2人で油を売っていた。

Sさんなくしては知り得ない情報で、それ以降都合のつく日曜日の朝はそのスーパーに行ってる。

今日も事前に買物リストを作成して、朝の開店に合わせて行ってきた。

店側がいくつ位用意しているのかわからないけど、開店40分後には売り切れるということを

いつだったかの日曜日に知った。

だから、なるべく早めに行くようにしている。

今日は開店3分後位には到着したけど、本当にびっくりした。

98円の赤卵の周りには、人・人・人の嵐だった。

あのテレビなんかの激安スーパーの特集のような繁盛ぶりで、これまでこんなに早く到着したこと

なかったから、その光景に感心を通り越して唖然としてしまった。

そして、すでに用意されていた分の半分以上ははけていただろう。

卵の周りの人たちは、ちょっと腰をかがめて卵を取っていた。

自分の順番が来るまで待とうと少し離れたところに突っ立っていると、

すぐ近くの愛想の良さそうなおばちゃんが、

「この卵、Lサイズなのよ!Lサイズ!

あの中にはMサイズとLサイズのパックが混ざっていて、わたしはいつもLサイズを探すのよ。

ほら、『L』ってあるでしょ?」

と話しかけてきた。

たしかに、よーく見ると、透明パックの端っこの方に、うっすらと「L」と浮き彫りになっている。

「これ、あげるわよ!」

とわたしに突然手渡してきた。

「ほら、わたしはもう自分の分は取ってあるから、もし良かったらこれあげるわよ」

と言う。

たしかに、おばちゃんのカートにはすでに卵が2パック入っていた。

わたしはお礼を言って、その卵を受け取った。

すごく小さなやりとりだったけど、そのやりとりがわたしはとっても嬉しかった。

とにかく、みんな我先にと卵やら他の特売に目を光らせていて、

ある種、戦場のような形相の朝市だ。

下手するとカートや人に当たるような、けっこう気をつけていないといけない場所だ。

その中で、見ず知らずの人に声をかけ、そして特売品を回してくれる、

そんなおばちゃんはあっぱれだ。

Sさんに教えてもらった卵が、こんな風にまた新しい風をもたらしてくれて、

たったひとつの卵なのに、ストーリーが出来上がって。

すえひろがりな卵だ、1パック98円の赤卵。

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