2015年6月9日火曜日

胸キュンフレーズ

仕事の中の胸キュンな瞬間。 
(仕事は、オール1からオール5までの小中学生を預かる塾のお仕事) 


☆学年順位、後ろから6番目の順位を獲得した男の子に 
その順位表を家の人に見せたのかどうかを聞いた。 

「おれの反応見てわかるでしょう? 
きちんとやった時は、おれすぐに返事するじゃん。 
返事しないってことはさ・・・」 

このセリフ。 

これに胸がキュンとした(笑)。 
その子どもの一言には、二人で通過した歴史を感じさせた。 
その子が言わんとすることは、言葉がなくてもきちんと伝わってきた。 


☆「今日はね~、黒猫1匹だけだったよ」 

塾の建物があるご近所に2匹の黒猫と1匹のしましま模様の猫が住んでいる。 
その猫話で一度盛り上がってからは、毎回来るたびに猫のことを報告してくれる。 

猫がいてもいなくてもどっちでもいいけど、 
この話、毎回ほっこりする。 


☆「ちわ~す」「ありがじゅっぴき!」 

ある子どものあいさつ。 
「ちわ~す」は「お願いします」 
「ありがじゅっぴき」は「ありがとう(蟻が10匹)」 

子どもは、それを聞いた時の私の反応を見て喜んでる。 
特に「ちわ~す」は注意されるから、わざと私の気を引こうとがんばってる。 
それがまた微笑ましい。 


☆「ペンギンどこに行ったの?」 

ペンギンとは修正テープのこと(ペンギン型の修正テープがあった)。 
普通の人が聞いたら、なんのこっちゃ?ということでも、 
その子と私の中では「ペンギン=修正テープ」で通ってる。 

こういうああうんの呼吸がとても好き。 
(あうん?ああうん?どっちだろう?) 


☆「ねぇこれ何て読むか知ってる?」 
ノートには「愛死天瑠」の文字。 

逆に聞いた。 
「何て読むの?これ」 
「えぇ!?俺が言うの?」 
「知ってるから、私に何て読むか聞いてきたんでしょう? 
私わからんから教えてよ」 
「嫌だ、言わん」 

顔を真っ赤にしていてかわいらしかった。 

これを聞いてきた子は、小6でピアスと茶髪デビュー。 
今は中学生で、学年一のチャラ男になってるはず。 
(学年一かどうかはわからないけど、毎日先輩から呼び出しくらったりしてるからトップ3には入ってると思う) 


☆ある時のテストの成績表を持ってきたとき。 

子どもが見せる前に 

「これ見たら先生驚くよ! 
絶対に、『え~、なにこれ!?!?!?』って言うから」 
「とうとう学年最下位取ってきた?」 
「いや、それよりすごい」 
「それよりすごいって何があるの?」 
「見たらわかるって」 

開けてびっくり。 

[-] 
と順位の欄には書かれている。 

「『-』←これなに?」 
「なんだと思う?」 
「うん??」 
「・・・」 

(しばし思案) 
「もしかして、受けてない!?」 
「あったり~!」 


余談だけど。 

今の仕事に就いてから、 
テストの成績を子どもに聞くときには、段階があることを知った。 

第一段階:「受けた?」 
第二段階:「寝なかった?」 
第三段階:「テスト(の点数)どうだった?」 


☆「お母さんに学年順位が60番になったら塾やめてもいい!って言われた!良かった~」 

と電話でわざわざ報告をくれた女の子がいた。 

この子の言う「良かった」は 
「塾をやめずに済んで良かった」の良かった。 

240人くらいいる中で、とうとう200番台突入かと思しき危ういラインに立っていた。 

これ以上下がるなら塾に行っても意味ないと言われ続けていた。 

今回、両手で数えられるくらい順位が上がって、 
そしてお母さんに上のようなことを言われた。 

電話越しで、手放しに喜んでいる様子が伝わってきた。 


☆先日のこと。 

去年1年間見ていた男の子を最寄り駅の改札口で見かけた。 
5メートルくらい離れていて、何人もの人がその間にいたから、 
でかい声でその子の名前を呼んだ。 

その子も私に気付いて、 
改札をくぐったのに、私のいるところにくるために改札を逆戻りしようとして、 
改札バーにひっかかった。 

「何で俺だってわかったの?」 

うれしそうな顔して聞いてきた。 
中学をオール1で卒業して、本当に大丈夫か心配な子だったけど、 
今行っている学校は楽しく行っていることがわかった。 

私にくそばばあだの死ねだの言ったり、 
オール1の通知表を「家族に『でんしんばしら』って言われた」と言って 
それ聞いて私が笑い転げたらひどいと怒ったり、 
「これから自転車盗んだのがばれて警察に行ってくる」と言ったり。 

色んな事を思い出したけど、 
どれもこれもなんだか良かったなぁと思った。 

去年全然気付けなかったものが 
10ヶ月の時を経て私に「これでよかったんだね~」と伝えてくれてるみたいだった。 




1日24時間のほんのちょっとの時間、子どもたちは塾にやってくる。 

もちろん毎日なんて来ない。 

私が子どもたちと一緒にいる時間なんて一瞬。 

会話を交わす時間は、せいぜい数分。 

その中で、「点」をその時その時でつくりだす。 

今40人の子どもが来ている。 

40人いたら、40通りの点ができる。 

一卵性の双子も来ているけど、その双子ですら別々の点を私とつくる。 

そして、ちょっとずつちょっとずつ点と点を結んで線が生まれる。 

その線も当然ひとりひとり違う線が出来上がる。 

「勉強」というものを扱う塾の仕事は、正直嫌だと今でも感じる。 

いまだに、勉強の必要性がわからないまま、子どもに会っている。 

でも、勉強ははっきり言って手段でしかなくて、 

その手段の先にある子どもとの点作りに私はとてつもなく惹かれる。 

子どもたちは、 
私が適当に話を聞き流すことも、 
保護者の前で声や口調が変わることも、 
その日の私のテンションの具合によって子どもにあたる具合が変化することも、 
よく知ってくれている。 

わからないから勉強しに来てるのに、 
「答え見て自分で確認して」 
「まず読む!」 
などとよく言われている。 

オール4やオール5の子どもたちは、明らかに私より賢い。 

この塾、というより、私でいいの?と思うことは多々ある。 

逆にオール1ラインの子どもたちも、全然上がらない。 

下手すると成績が下がる。 

よく子どもと、どうやってそれについてお母さんにフォローをするか、一緒に考える(笑)。 

仕事をやめたくてたまらなかった頃。 

母親に 
「自分は自分、人は人、迷わない。 
生徒が助け舟だすから」 
と言われたことがあった。 

今ならよくわかる。 

いつかの時から、子どもの前で素の自分が出せるようになった。 

もう別に誰にどう思われようと関係なくなってから、 
私の場合は子どもとの関係も安定しだしたように思うし、 
そして営業的な数字も安定しだした。 
むしろ、数字のことを言えば、上がった。 

今は、私が滅入っている時、子どもが助け船を出す。 

今日書いたようなことに救われる。 

胸がキュンとする(笑)。


(※)『胸キュンフレーズ』は2011年12月9日にアップしたもの。

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