2019年5月11日土曜日

日本社会の観察記

2019/05/08

ゴールデンウィーク中の仕事で超感動したことと、そして感動の先に感じた疑問と、その後友達と話したことと、そして今たまたま見つけた外国に住む国際カップルの人が日本に帰省して感じたことを読んだ感想とが、不思議と繋がったから、備忘録として書きたい。

こんなこと書いても何にもならないし、だから何だ?という話でしかないけれど、これを数年後、10数年後に読むと面白いかもしれないと思って書く。



ゴールデンウィーク中の仕事で超感動したのは、ハンガーをはじめとする備品たちだった。

これまでハンガーに注目したことなんてなかったけれど、今回本気で欲しい!!!と思ったぐらいにすごく考えられてデザインされたハンガーに出合った。

日常的に洗濯物を干す人なら、そしてどんな人でも丸首なりVネックのシャツの1枚2枚はあるだろうから、そうしたタイプのものをハンガーにかけるのなら、これ以上ないユーザー目線に立ったハンガーだった。

誰が開発したのかは知らないけれど、本当に超画期的ですごく感動した。

他にも商品関連の備品が至るところにあるわけだけど、どれも本当に効率や能率を最大限に引き上げるための創意工夫が半端なかった。

初めて作業する私でもものすごく作業しやすかったし、それぞれの備品たちを最初に開発した研究者や企業は本気で凄い。

日本って本当に凄いんだなと感じた。



感動も大きかったけれど、その後疑問も沸いてきた。

本当に凄くてそういう良いところは開発側も使用側も双方にとってメリットがあるからいいけれど、そこまで良くした後、その後はどうなるのかな…と思ってしまう。

始業後最初の2時間は、私は掃除を割り当てられ他のスタッフの人たちと一緒に担当した。

掃除に関してもマニュアルがあって、そして数人で手分けしてやるんだけれど、それがとにかく超ギリギリのラインでやっている。

最初の日に教えてくれた子が「結構急ぎ目にやらないと終わらないので、速さを意識するようにお願いします」と説明してくれた。

やってみて超納得した。

たしかに超本気でやらないと終わらない。

しかも細かなところまでは手がどうしても回らない。

初日はもう少し掃除しようよと心の中で思ったけれども、実際にスタッフの人たちの動きを見ていて、とにかく誰もサボってないしテキパキと動いているのに、それでも手落ちが普通に出るような作業量にとにかく驚いた。

作業量に対して人員数が見合ってないからそうなることがわかった。

内部事情を全く知らない私からすると、どこまでも利潤や効率を求めるやり方に、人間側の負担がデカすぎて、それが本当に変な形で出ないといいなぁと思わずにはいられなかった。

いくつか前のブログに、完璧過ぎるマニュアルだからマニュアルにないイレギュラーなことがあった時の対応に疑問を持ったことを書いたけれども、私がその人たちを悪く思わないのはそこがわかっていたからだった。

あのすごい労働環境の中でお客さんに対しては本当に丁寧な接客をしているし、私に対してだってすごくきちんと対応してくれてる。

並大抵のメンタルではやれないぐらいに凄かったから、だからそんな無理を強いてる運営陣に疑問は持ってもそこにいた個人個人には何か責めるような気持ちは湧かなかった。

失礼に当たるかもしれないけれど、「大丈夫ですか?」と思わずにはいられなかった。

本当に取り返しがつかなくなるんじゃないかと心配になるぐらいに、素晴らしいサービスや商品の裏側を支えている人たちの存在が気になって仕方なかった。

ちなみに私が同じことしたら、私は100%早い時期にメンタル系の病気になる。

断言できるぐらいに凄まじかった。

そういうのを見て、本当に思ったのは「何を目指しているんだろう?」ということだった。

企業が目指しているものは、安価で良いものを提供することなのか、それともそれと引き換えに人間らしさを抑えて闇のようなものを生み出すことなのか、見ていてよくわからなかった。



ゴールデンウィーク中、友達と会った時に、たまたまキャッシュレス化の話になった。

2人とも超がつくアナログ人間だから、「〇〇ペイ」だのという現金を伴わない支払い方法も使っていなければ、その仕組みもよくわかっていない。

私のように本当にわからない人間が喋るから実際のことはわからないけれど、そうした通貨システムの割引もだし、仮想通貨の利益もだけど、そうしたものは何で生まれるのかその仕組みがよくわからない。

通貨システムの割引が今あちこちで謳われているけれど、私は消費者としては有り難いのはわかるけれど、仮に10%割引になってその割引分は誰が負担するのかなと思う。

企業が負担するなら、もしくは提携先企業でもいいけれど、その負担分って結局回り回って従業員の人たちにしわ寄せとか、何か別のところにしわ寄せがいくように思えてならない。

今回私が3日間行った店は、1年の中の1番2番を争う繁忙期だったらしく、セールによってもたらされる利益も大きいのは話を聞いていてわかった。

ただ、利益が出た分従業員に還元されるかというとそうではなさそうだった。

これは塾に勤めていた時にものすごく感じていた。

当時私は、途中から正社員から契約社員に切り替わった。

時間が絶対的に欲しかった私にはたしかに有り難い制度ではあったけれど、今でもよくわからないことがある。

おかしな話ではあるけれど、私はフルでバリバリ働いていた正社員の頃より週4.5日、時間にして36時間働いていた契約社員の頃の方が売上を上げていた。

じゃあその売上分が給料に反映されるかと言うとそうではなく、給料は契約社員としてのものになる。

契約社員になって給料はもちろん下がった。

変な話、会社に入るお金は私を契約社員にした時の方が多い。

人件費削減に加え、私が思いの外売上に貢献したから、余剰分まで増えた。

余剰分は想定外だったにしても、余剰分は全部会社に回って終わった。

何が言いたいかと言うと、利益を上げてもそれは従業員個人には反映されないということ。(もちろん会社によりけりだと思うけれど)

で、そのキャッシュレスの割引も、その割引分がどこに行くのかが非常に不透明だなぁと感じる。

そんな話をしてたら、友達が「ちょうどね、昨日NHKでその現金化をやめてキャッシュレス化する制度の番組をしてたんだよね」と言って面白い話をしてくれた。

スウェーデンだったと思うけれど、スウェーデンは今現金での支払いをする人が全人口の2%以下の1%台しかいないとのこと。

基本的に何もかもが現金ではない形での支払いで、街行く人たちに該当インタビューしても「もう3年ぐらい現金を見てないよ」とか言う人ばかりだったらしい。

さらには手の甲の親指と人差し指の間ぐらいのところに注射でマイクロチップのようなものを埋め込んで、それが個人の支払いシステムになるようにしてる人たちも出てきているとのこと。

だからそういう人たちは手をかざすだけで支払いができるから、財布は要らなくなる。

その国でそんなにもキャッシュレス化が浸透したのは、きちんと理由があった。

国内に7つだったかの銀行があって、その銀行同士が協力して統一されたシステムを導入したとのこと。

人件費の削減はもちろん、例えば現金時代、店舗で売上が合わないというようなこともなくなって、今は全てデータ化で売上管理がなされている。

レジ締めなんかもデータでするから、いちいち現金を勘定することもなくなった。

人的負担が減ったことで、人々は余計な仕事をしなくて良くなって、残業しなくて良い、早く家に帰れる、自分の時間や家族の時間をより多く持てる…という良い流れを生み出した。

スウェーデンは、そうした個人の生き方やライフスタイルをより良くするために導入されたキャッシュレス化だったから、導入率100%に近いところまで行ったようだった。

番組でも言われていたらしいけれど、日本と全然出発点が違うなと思った。

日本のキャッシュレス化は正直何が目的なのかがよくわからない。

スウェーデンでは、この店では使えてあの店では使えないということが基本的にないらしい。

国を上げての統一した制度だから、とにかく均一に制度がどこでも使えるシステムになっているらしい。

銀行はと言うと、そうしたことに疎い高齢者とかが使い方を習いに行っておしゃべりしてくるサロン的な存在になっているらしい。

全然日本と違うとわかった。

これはつい最近のこと。

私はひょんなことから、ナナコカードと呼ばれるカードをもらった。

ありがたかったけれども、どこでも使えるわけじゃない。

ネットで検索して、使える店舗を探した。

セブンイレブンで使えるのは知っていたけれども、私は基本的にセブンイレブンで買物をすることがない。

一度セブンでポイントを使えるようにしてもらわないとでその時にお菓子を1つ買ったけれど、店内を見ても欲しいものがなかった。

だから私は今度は他で使えそうな店を探した。

最終的に確実に使う化粧水にしようとナナコカードが使えるドラッグストアに行ったけれど、今度は探してる化粧水がなかった(゚o゚;;)。

ドラッグストアを3軒回って、ようやくどうやら愛用していた化粧水はこの1〜2ヶ月で廃盤になったようだと知り、3軒目のところで使い心地が似たものを見つけてそれを買って帰ってきた。

2年か3年は気に入って使っていたのに、どうしてまた勝手に廃盤になるかな…、また化粧水ジプシーになりそうなどと思いながら帰ってきた。

日本はマネーカードにしても統一していないから、ここでは使えてもあそこでは使えないというのが本当に多い。

これは私みたいに本当に全くの素人、仕組みや制度もわかっていない人間から見ての感想だけど、日本のキャッシュレス化は「競争原理」が働いているようにしか見えない。

LINEのスタンプ欲しさでいくつかの企業からお知らせが来るけれど、どれも「うちの商品良いですよ」的なアピールになっている。

LINEペイとSuicaが違うのはなんとなくわかる。

だけど、LINEペイとLINEショッピングの違いはわからないし、LINEショッピングの中のAmazonと普通のAmazonの違いがわからない。

とにかく一事が万事そんな風で、お互いに協力しているというよりも、競争している風にしか見えない。

あと友達いわく、日本のキャッシュレス化が難しいだろう理由も番組で言っていたらしい。

キャッシュレスになるということは、別の言い方をすると全てのことがデータ化される。

データ化されると非常に都合の悪いことがたくさん出てくる人や組織もある。

それらをまとめて闇の勢力とするなら、日本では闇の勢力がまだまだ根強くて、そことの和解も得られないとキャッシュレス化を推進するのは難しいらしい。

それはものすごくよくわかる。

派遣の仕事の1つで、クレジットカードの不正利用に関する部署にいた時があった。

不正利用かどうかを調査することも含まれていて、クレジットカードで使われた店舗やサービスに問い合わせをして具体的に何に使われたかのデータを他社から提供してもらうこともあった。

「人妻・熟女との出会い」とか「〇〇ホテル(←名前がいかにもラブホっぽいのとか)」とか、超具体的に出てくる。

いつだったか、還暦手前の男性のお客さんに自分の記憶にある使用履歴を確認した時、電話越しに告白された。

「非常にお恥ずかしい話なんですが、アダルトサイトを利用しました」とか。

調査前だと、使用履歴は出てもそれが具体的に何のサービスや商品かはわからないから、お客さんに日にちと金額を伝えて内容確認する作業があった。

情報にも色んな段階があって、初期対応の時は私側から見ても何に使ったかは具体的にはわからなかったりする。

だからお客さんと1つ1つ確認しないといけないんだけど、そうやって言わなくても済んだようなことまでもが明るみになることも当然出てくる。

個人単位でもそんな風だから、これが企業となればもみ消したいことなんか山ほどあると思う。

スウェーデンの仕組みが上手くいった理由が「国民の生活向上」にあったとするなら、日本の仕組みは何が目標なのか少なくとも私にはわからない。

かつてのような競争原理ではもうどうにもならないところまで来ているから、より一層日本でのキャッシュレス化がどんな風に進んでいくのか、そこはとても興味がある。



そんなこんなを経て今回最後行き着いたのが、外国在住の日本人の人が日本帰省時に感じたことを綴った文章だった。

外国に住んでいるからこそ、日本のサービスの高水準・低価格のところが気になるとあった。

本当に海外ではありえない現象で、海外では高水準のサービスや製品にはそれ相応の適正な価格が付けられていて、反対に安ければ安いなりのものだというのが当たり前になっている。

日本はそうではなく、すごく良いものも異常な安さで出回っていて、そのしわ寄せが労働者側に行くだろうと察しが付くぐらいに酷いとあった。

私もそれは思う。

本当に品質の良いものが日本では至るところで提供されている。

でも今回そういう典型的なザ・日本の高品質低価格な店に行って、見方がかなり変わった。

本当にありがたいし、私だってこれからいつ消費者として使わせてもらうかはわからない。

だけど、それを裏で支えてくれてる人たちを今回垣間見て、それが本当に良いのかどうかわからなくなった。

代償があまりにも大きすぎる、その事実に唖然とした。




世の中はどんどん便利になっている。

まだまだ発展できるところもたくさんあるから、これからもさらなる進化を遂げていくと思う。

だけど、私はやっぱりどんな時も最後は「人」だと思っている。

「うわ、これ便利!」ということよりも、「これされてすごく嬉しい」ということの方が記憶に残る。

3日間の仕事でも、記憶に残るのは人とのやりとりだったし、これが日常だと余計とそうなる。

7年か8年前になると思う。

ねずみ講系の人に捕まってしまって、しつこく勉強会だのミーティングだのと誘われた時があった。

最後は適当に尻尾巻いて逃げたけれども、その時にポロっとこぼした話が私は今でも忘れられない。

ある程度上まで上り詰めたその人は、ある時にすごく嬉しかったこととしてこんな話をしてくれた。

ある方のお宅に呼ばれて、手作りのおつまみをあれこれ用意してもらってもてなされたという内容だった。

本当にそれだけの話だったけれど、その人が本当に欲しいのはそういうものだとすぐにわかった。

いつものトゲトゲして張り詰めた空気はなくて、声が柔らかくなっていた。

そしてそれが本当に嬉しかったと話していた。

人間はそんなに複雑怪奇に作られていないと思う。

色んなシステムやサービスが形作られていて、もちろんその恩恵もたくさんあるし、その技術者の方たちの仕事魂も感じる。

NHKの『サラメシ』という番組で、色んな働く人のランチを紹介すると共に、その人たちの仕事内容や職場風景もドキュメンタリーのように放送される。

本当に色んなサービスや商品があって、見ていて感動する。

いつかは段ボール会社が紹介されていた。

それを見るまで、スーパーやホームセンターなんかで段ボールに入ったまま並んでる商品の【段ボール】に目を向けたことなんてなかった。

本当に段ボール1つとっても、ディスプレイや陳列する際にどちらでも使えるようにものすごく細かい工夫がされていて、見ていて超感動した。

段ボールなんて最後廃棄するものだけど、そこじゃなくていかにその段ボールを取り扱う店員さんたちが使いやすいかを考えて設計されている。

扱うのは段ボールだけど、その段ボール会社の人たちが相手にしているのは、どこかの見知らぬ働いている人たちなんだとひしひしと伝わってきた。

そういう人たちに良いもの、便利なものを届けようとみんなで一致団結していた。

そのテレビの中の働く人たちもだし、至る所で働く人たちも、いつも中心にあるのは、人間の心じゃないのかな…と思う。

それは何も働く人たちだけじゃなく、自分を見ていても感じる。

自分の心が張り詰めている時にさっと一言声をかけてもらったり、気持ちが塞ぎ込んでるような時に美味しいものを一緒に食べたり…。

メールやLINE、電話なんかでさりげない一言をもらったりとか。

そういうことだけで、本当に救われる。

何も超特別な何かじゃなくて、そうしたことたちで心が満たされるところが大きい。

ここに書いたこと1つ1つは繋がりがない話だけれど、これからますます便利さが加速した時に、最後の最後本当に残るのは、人と人の繋がりだとか人の心なんだろうなぁと思っている。

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