2016年5月13日金曜日

赤ちゃんの生態

何年か前に、よしもとばななさんのエッセイでばななさんご自身の子育ての中で気付いたことを

こんな風に紹介されているのを読んだことがある。

赤ちゃんを見て驚いたことの1つに、朝起きた時赤ちゃんと目が合うと赤ちゃんが笑うのだそうだ。

それがほぼほぼ毎日のように笑うらしく、とにかくその赤ちゃんの笑顔に驚いたとあった。

どういうわけかその一文だけすごく印象に残り、わたしもいつかその赤ちゃんの寝起きの笑顔を

見てみたいと思っていた。

それが今回数年ぶりに実現した。

妹が去年の12月に初めての子どもを産み、実家に帰省してきた。

わたしも居合わせ、同じ部屋で妹と姪っ子とわたしの3人で寝た。

夜中の授乳タイムは大抵泣き声を出して起きる。

日中のお目覚めも基本的にあまりよろしくない。

大体は泣くことがセットになっている。

だけど、朝1番のお目覚めだけは違っていた。

本当にエッセイの中で紹介された通り、姪っ子はほぼほぼ毎日起きて妹やわたしの顔を見ると、

それはそれはかわいい笑顔で返してくれるのだった。

目が覚めて1~2分少しぼーっとしながらようやく目を本格的に開ける。

目が開けば、視界に妹とわたしが入る。

それぞれににこっと笑顔を向ける。

姪っ子とほぼ24時間体制で数日過ごす中で、本当に目が合うだけで笑うのはこの朝のお目覚め

の時間だけだった。

他のもっと覚醒した時間だと、大人側が何かしら働きかけないと笑わない。

赤ちゃんを1日中観察してわかったのは、とにかく自由だということ。

自分の存在そのものもまだわかってないような段階だから、とにかく自分の本能のまますべての

動きは決定される。

妹と「宇宙と交信してる」と呼んだ時間があって、それは姪っ子がひとりで宙のある1点をじっと

見つめ、うぅうぅーなどとよくわからない音声を発することもあれば、静かに見つめて終わりのことも

あった。

それを数分単位で行うことが1日の中で何回もあった。

大人が顔を近付けてもその時だけはどういうわけか宙を見つめたまま、自分の世界に完全に

陶酔している。

大人にはさっぱり理解できない不思議な行動でしかなかったけれど、姪っ子には姪っ子にしか

わからない思わずしてしまう行動なのだろう。

5ヶ月にそろそろなるという姪っ子。

早くも嘘泣きというか大人の注意を引くための手段を身につけていた。

本気で泣く時と明らかに違うからすぐにわかる。

妹いわく、今の成長段階で姪っ子が自分の感情を訴えられる唯一の手段は「泣く」だけだから、

だから嘘泣きであっても姪っ子なりの何かの訴えなんだと言っていた。

言われてみればそうだなぁと思う。

姪っ子の場合は、人肌が恋しくて泣く時もあったけれど、反対に自分ひとり床に転がされるのを

好んで泣くこともあった。

抱っこしても嘘泣きみたいなことをしている時は、畳の上の毛布で作った即席布団に転がすと

喜んで、例の宇宙との交信時間やひとり発声時間を楽しんでいた。

気付けば、大人になってから24時間体制で赤ちゃんをじっと見ていられる体験は今回が初めてで

何もかもが新鮮だった。

前回妹の家で姪っ子に会った時は、姪っ子は別室で寝ていたから今回ほど一緒ではなかった。

姪っ子が言葉を発する前に、もっともっとこの赤ちゃん特有の生態系をまた観察したい。

この不思議な感じは、言葉を言葉として理解できない今の時だからこそ見られるもののような気が

する。

大人になった自分や周りを見て、みんなそんな時を通過して今に至るなんてとても思えない位に

赤ちゃんって面白い。

「生きているだけで価値がある」という言葉、姪っ子を見て本当にその通りだと何度も思った。

なぜなら姪っ子は、本当にただただそこにいるだけで、周りをうんとしあわせな気持ちにしてくれる

そんな存在だったから。

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