2016年4月18日月曜日

高級紙と苦い思い出

どうしてこんなことを突然思い出したのか知らないけれど、ふと30歳の時に買った高級コピー用紙

の存在を思い出した。

あまりにももったいなくて、実家から今の名古屋まで自分で持ってきたけれど、さっき確認したら

残り4枚になっていた。

50枚入りだったのか100枚入りだったのか、はたまたもっと少ない枚数入りだったのかは忘れた

けれど、通常の1パック500枚のパソコン専用のコピー用紙より遥かに高い値段だった気がする。

なぜそんなものを購入したのか、その経緯を突然思い出したのだった。

30歳のわたしは、人生で初めての就職活動をしていた。

大学卒業後もしたけれど、それはとても特殊な活動すぎて、世間一般で言うところの就職活動

ではなかった。

だから全くの未経験者として、世間一般で言う就職活動を当時はしていた。

その途中で権威ある方なのか単なる天下りのOBなのかはわからないけれど、某就職相談室なる

ところに足を運んだことがあった。

予約して履歴書や職務経歴書も持参して挑んだ相談だった。

そこで60歳は超えているだろう大御所の男性よりまず注意されたことのひとつは、書類の用紙の

質だった。

それまでわたしは一度も500枚入り以外のコピー用紙は買ったこともなければ、その存在すらも

知らずにいた。

大御所いわく、就職・転職活動の際に企業に提出する用紙はすべて高級紙を用意するように、

まずはそこから面接が始まっていると言っても過言ではない、位のことを言っていた。

わたしは、「ぽかーん」だった。

誰もが知っている名だたる企業に応募するならともかく、わたしが応募した40社以上の会社は

そんな名だたる企業はひとつもなかった。

ましてや、紙質で採用不採用が決まるのであれば、不採用にしてもらう方がありがたい。

紙専門店に就職するならともかく、紙とは全く関係のない企業でさらにはそういう重箱の隅をつつく

ような体質の会社であれば、採用されてからの方が大変だろうことは十二分にわかった。

まぁでも就職活動のいろはのいも知らないわたしは、とりあえず高級紙を購入した。

そして残りは別の使い方となり、今手元に4枚だけ残っている状態になったんだと知った。

ちなみにその大御所は言葉の使い方も、丁寧にというよりわたしの気力を蹴落としたいとしか

思えない言い方で指摘をしてくれた。

未だに正しい言葉の使い方は知らないままだけど、大御所が指摘したのは「『経験を培う』とは

言わない、間違った言葉の使い方」ということだった。

経験は培われるが正しいのか、経験を積むが正しいのか、それとももっと別の言い方が正しい

のか、未だもって知らないままだ。

その場で質問したような気もするけれど、さっぱり要点がわからず、結局「どうやら使い方が違う

らしい」という程度の知識で今に至る。

本当に今となっては貴重な経験となったけれど、高級紙がどうだとか言葉の使い方がどうだとか、

「生きる」ことを考えたらどれだけ重要なのかなぁと毒を持った物の見方しか今もできない。

最低限、相手に差し出すにあたりきれいなもの、言葉も不自由なく読めるもの、それでいいのでは

ないかと今でも思う。

逆に自分が1000人近い人たちを面接する立場になったとしても、紙の質具合にどれだけ目を

向けるかと言えば、気付かないんじゃないかなと思ってしまう。

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