2016年1月24日日曜日

憧れのオニオングラタンスープの結末

昨日の朝ごはん、ふと思い付いて「オニオングラタンスープ」なるものを作った。

人生で初めて作ったオニオングラタンスープ。

実はこのオニオングラタンスープにものすごく憧れていた。

「オニオングラタンスープ」なるものを最初に知ったのは、大学生の頃、とあるアメリカの田舎町で

日本人の友達と交わした会話の中だった。

彼女とは最後の1年、もう一人の日本人の友達と3人でよく色んなものを作って試していた。

その彼女が「玉ねぎを2時間くらいかけて弱火で炒めて作るオニオングラタンスープがものすごく

絶品で私大好きなの」と言ったことがあった。

わたしはなぜその会話を克明に頭の中にインプットしたのかその理由は知る由もないけれど、

とにかくずっとずっとその言葉を頭の中で何度も反芻していた。

ただいかんせん、食べたことがない。

今も和食中心の我が実家において、そんな洒落た洋食など出てくることは一度もなかった。

そしてオニオングラタンスープを外で食べることもない。

まず置いている店も限られてくるのと、外で食事をする場合、わたしは「ごはん系」をがっつりと

いくか又は飲みのつまみをつまむかのどちらかになる。

このオニオングラタンスープというのは、そのどちらにも当てはまるものではないゆえ、外で試す

機会もなく今の年齢になった。

昨日の朝思い付いたのには理由がある。

相変わらず料理ブログが好きで色んな料理ブログを読み漁っているけれど、「オニオングラタン

スープ」なるものは一般家庭でも十分に作れることがブログを通じてわかったこと。

もう1つは、半額で購入したカンパーニュと呼ばれる昔で言う「フランスパン」が残っていたこと、

イタリア産の生粉チーズも半額で持っていたこと、そしてとろけるチーズもあること、とこれだけ

材料が揃っていたから、「作ってみよう」となった。

とりあえずネットでレシピを検索。

料理家の土井善晴さんのレシピがヒットした。

個人的に土井さんという方のレシピはすごく好きだ。

シンプルでわかりやすく、さらに素材の味を最大限に生かす方法を包み隠さず教えてくれる。

彼のレシピなら間違いないと思い、チキンスープはコンソメ顆粒で代用、本格的なチーズはない

から例のイタリア産生粉チーズととろけるチーズで代用し、作り始めた。

味は申し分なかった。

普通においしいと思う。

「思う」と書いたのには理由がある。

最初の期待値が大きすぎて、別に対して美味しいと絶賛するほどではなかったこと。

そして、作ってわかったのは、「自分が嫌いな食べ物」の存在を思い出したこと。

嫌いな方が勝り、おいしいかどうかは二の次になってしまった。

嫌いな食べ物というのは、パン全般において「パンがゆ」はじめ液体にパンが浸されて、パンが

ぬめぬめしているのが好きじゃない。

子どもの頃、妹ふたりはパンがゆが大好きで、母はよく作っていた。

わたしは牛乳が嫌いだからパンがゆは手をつけなかった。

これまでも、牛乳が嫌いゆえパンがゆを食べないものだ、とずっと思っていた。

だけど昨日はっきりと自覚した。

とにかくパンが液体にさらされてぬめぬめしているのが好きじゃないと。

カンパーニュもといわたし流に言えばフランスパンは、予めトーストしていた。

だからさらに硬さが増したパンとなった。

でも10分近く液体に浸かれば、いくら硬さが増しても形態はどろんどろんに近くなる。

そのどろんどろんとしたパンの食感が好きではなく、それを口に運ぶのに必死だった。

オニオングラタンスープの味を堪能する余裕など、振り返ればみじんもなかった。

食べ終わってみて、もう二度と作らなくて良いと思ったのと、例えば今後もし誰かに

「おいしいオニオングラタンスープがあるから食べに行こう」

と誘われたとしても、断るか一口もらって終わるかのどちらかだろう。

ちなみに、これがスープに浮かべてあるクルトンとなると話は別で、それは普通に好きだ。

さらに、同じ小麦粉同士でも、天ぷらうどんやそばにして、汁の中で天ぷらの衣がふにゃふにゃに

なったものは、大好物だったりする。

ひそかに、どのタイミングで天ぷらを汁の中にインすると、かりっとした食感とふにゃふにゃの食感

との両方を味わえるだろうか?と真剣に悩んだことさえある位に好きだ。

自分の舌さながら、同じ素材なのに調理法によって好きなものと嫌いなものに分かれる不思議に

人間の自由であり勝手さを覚える。

ということで、15年も恋い焦がれたオニオングラタンスープは呆気なく終わり、もう生涯を通じて

二度と口にすることはないだろう代物へと変貌を遂げた。

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