2017年11月20日月曜日

出逢いの不思議

*C子*
C子と初めて出逢ったのは、ある宿泊研修中の寮の中だった。
C子と私は同じフロアの同じ洗面所を使う仲だった。
C子はとても目立つ子でリーダータイプで、とにかく私が最も苦手とする人種の最高峰という感じだった。
だから洗面所でかち合う度にすごく気まずくて、一刻も早くその場から立ち去りたかった。


研修後、また小グループに分かれての別の土地での研修。
今度は私入れて6人。
C子もいた。
何でこうも苦手なC子と一緒なのかと思った。
研修が始まる前から、その人間関係を思うだけで気が滅入りそうだった。


あれから10年以上が経過した。
C子とは今とっても仲良くしているし、これからも離れて暮らしていてもずっと繋がっていく友達だと思う。


C子と私が仲良くなったきっかけは思わぬところにあった。


その6人になってからの研修の時のこと。
住んでいる場所から研修先まで歩いて30分ほどのところだった。
私たちはいつもいつも歩いて通った。
行きも帰りもみんなで一斉にスタートする。
なのに、気付くと他の4人はうんと前にいて、私とC子だけがうんと最後尾を自分たちのペースで歩いていた。
しかも2人で合わせたわけじゃなくて、気付くといつもそうだった。
そう、C子と私は歩くペースが全く一緒だった。
それも合わせなくても勝手に合う。
あんなにリーダー格でちゃきちゃきしてると思っていたC子は、実はゆったりとしていてかなりマイペースで、いる場所・グループによって七変化する人だった。


そんな「歩くペース」が同じだったから、仲良くなった。
人生の中で、歩くペースが同じなんていう理由で仲良くなったのは、C子以外誰もいない。


C子からも「最初ぶっしーが不思議ちゃんにしか見えなくて、絶対この子とは仲良くなれない!って思っていたから、今こんな風に仲良くしてるのが不思議よ~」と何度も言われた。
(注:「不思議ちゃん」はC子から見ての私のイメージで、私は自分のことを不思議ちゃんとは思ってない)




*Sさん*
Sさんと最初に顔を合わせた時のことはよく覚えている。
その土地に半年早く越してきていた私が、SさんとSさんの仲間たちにオリエンテーション的なことをすることになった。
Sさんは仕方ないから来てあげましたよ的な、面倒だけど来ましたよ的な、なんとも言えないオーラを漂わせていた。
他にも無口で強面な男性たちがいたけれど、中でもそれはSさんが一番強かったから、私も「あぁ何か重たいわ、この空気」などと思っていた。
大人の作法として失礼のないようにしようとは思ったけれど、正直「あぁ嫌なんだろうなぁ、この会」と思いながらSさんたちと短い時間を共にした。
Sさんたちも私もその後に何の用事もないことはわかっていた。
なのにSさんは、もう早く帰りたいと言わんばかりに腕時計をそれはそれは自然に見始めた。
そんなSさんを見て、あぁ私はこの人と仲良くなることは絶対にないだろうなぁと思った。


Sさんと仲良くなるきっかけが何だったのかは今となっては思い出せない。
だけど話してみると、実はすごく思慮深くて繊細で物知りで優しくて、自分が経験した痛みとか悲しみが根底にあるからか私がどんなにおかしくて変でも、それをものともせず受け止めてくれるすごい人だというのがわかった。
そしてわずか1年ぐらいしか同じ市内に住むことはなかったのに、その後は何百キロとお互いが転々とする度に離れているのに、かなりな回数再会を果たしている。


最初に出逢った日、一番仲良くなれないと思ったSさんと一番仲良くなってもう何年も経つ。




*Mちゃん*
45人近くいる職場でMちゃんと出逢った。
9ヶ月働いた中で10数回のワークグループの変更があった(上司のやり方)。
そのMちゃんと同じグループになったのは、たった一度最後の1ヶ月だけだった。


だからことごとく接点のない子だった。


ある時、Mちゃんも私も窓口対応をする日が重なった。
10人程度いたかと思う。
Mちゃんとたまたま隣りの席同士になって、暇な時間はおしゃべりに講じた。


私のところにお客さんがきてお客さん対応をしていた時のこと。
Mちゃんは突然、パワーストーンのブレスレットを手首から外して手のひらにのせて、それはそれは色んな角度から眺め始めた。
私がお客さん対応しているということはお客さんからも見えるぐらいの距離にMちゃんはいるのに、Mちゃんは石を眺めるのに夢中で何も気づいていなさそうだった。
お客さんもMちゃんもお互いに気づかず、私一人だけがその状況に気づいていて、それがあまりにシュールすぎて私は吹き出しそうだった。
あまりに面白すぎたけど、その時はそんなこと突っ込めるほど仲良くなかったから、心の内にそれはそっとしまった。


それがひょんなことから、当時私と一緒のワークグループだった他の女の子の企画で、Mちゃん含めて3人で飲むことになった。
企画者の女の子は酔いが回って先に帰ってしまったけれど、Mちゃんと私は残って2次会をした。
その時にそのブレスレットの話をして、そこから実は2人とも同じ趣味を持っていると知り、私たち2人はあっという間にうんと距離が近くなった。
これは後からMちゃんから聞いたことだったけれど、あんな風に仕事中パワーストーンを手のひらにのせて眺めたのは、後にも先にもあの時だけだったとのこと。
ちょうど前の日が満月で、石を月光浴で浄化させて、それで石の調子を見ていたと説明していた。




**出逢いの不思議**
C子とSさんに共通しているのは、最初全く興味がないどころかとても苦手なタイプの人だったということ。


Mちゃんに言えることは、
①同じ日に
②同じ仕事をすることになって(お客さん対応以外の仕事もあった)
③前の日が満月で
④たまたま暇を持て余したMちゃんがパワーストーンを眺める
⑤それを私が目撃する
⑥時をおいて飲むことになり
⑦最後初めて二人きりの時間ができて
⑧お互いの趣味が同じと知る
これだけのことが全て重ならないと、絶対に仲良くなれなかったということ。


C子とSさんに関しても、Mちゃん並みにそういう偶然という偶然がいくつも重なって仲を深めることになったけれど、そこは割愛。


他にも書きたい人たちがいるけれど、長くなるから一旦そこはストップ。


私が人生ですごく仲良くなる人とか、とてつもなく影響を与えてくれた人とか、すごく好きになった人とか、そういう人全員に共通していることがある。


どの人との出逢いも、私は出逢いなんか全く期待していなかったところで出逢いが生まれている。


過去に何回か婚活パーティーやビジネスで人脈を広げましょう的な会に参加したことがある(どれも誘われて行ったもの)。


そう、「出逢い」をきちんと目的とした場では一切縁がなく、反対に縁を期待するどころかそんなこと考えてもいない場所で大切な人たちには出逢ってきた。


それは私だけじゃなくて相手もそんなの期待してなかったと思う。


C子みたいに、はっきりと私とは仲良くなれないと思っていた、と明言する人さえいるんだから、本当に出逢いはどこで繋がるかわからない。


今年の最大の出逢いもそんな風だった。


今年の最大と言ったけれど、過去最大と言ってもいいかもしれないぐらいの出逢いだった。


私は出逢いを全く期待していなかった。


出逢いの「で」の字すら思い浮かばないぐらいの状況にいた。


そしてこれまでの私なら、100%その状況では出逢いに対して動くことはなかった。


本当にすべてがおかしかったし変だった。


私は自分が時々思い付きで突拍子もないことをするというのは知っている。
過去を振り返ってみても、あぁこんなことする人が世の中に何人いるんだろう?なんてことが幾つかある。
その中でも過去に類を見ない変わった行動に私は出た。
当たり前だけど動いているのは自分。
そうしようと決めているのも自分。
だけど、動くのも決めるのももう自分の意志とかとは関係のないところで、もっと突き動かされるようにどんどん進んでいく、そんな感じだった。
心の方が先に出発していて、体はそれに追いつこうと必死だった。
何度も「自分、どうしたんだろう?」って思った。


そして予兆するかのように、1年前の私はその出逢いのすぐ近くまでまるで下見にきたかのように何度か行っていた。
当たり前だけど、下見に行ったわけじゃない。
その出逢いとは全く無関係の一度っきりの用事ができたからその都度行っていたに過ぎなかった。
まさか未来の出逢いに共通するところに何度も自ら足を運んでいただなんて知る由もなかった。


C子やSさん以上に、私の中では「この人と人間的に深く関わることはないだろう」と当初思っていた。
多分人生で他の誰よりもそう感じる相手だったかもしれない。
共通点もなければ接点もない。
そう、「ある」ことより「ない」ことの方が多かった。
あるのはただ目の前にいるだけ、と言ってもいいぐらいの相手だった。
なのに意味不明な影響力や存在感を持っている人だった。
ただそこにいるだけで影響を及ぼす人なんてそうそういない。
そんな人に出逢った。
ただいるだけでいい、そんな人だった。
でも、人生の中でこれほどまでに他に類を見ない出逢いもなく、それが人生80年と考えた時の一瞬の時間にしか過ぎないものでも、私の中では

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