運転しながら携帯をリュックのポケットの中から出した。
23:59。
今日が終わる。
0:00
新しい1日が始まった。
「アイスクリームください」
「うっきました」
「売り切れましたか?」
「史子、『売り切れ』ってよく聞き取れたね」
「アイスクリームください」
「はい!」
「メロン味はありますか?」
「あいます」
「コーンはありますか?」
「コーンありますよ〜」
♪ピピピピピ♪(←おもちゃのレジの音)
2歳の姪っ子メイが電話の向こうでアイスクリーム屋さんごっこをしている。
メイ専属の通訳の妹が不明瞭な言葉を隣りで補う。
2週間前は「(コーン)あります」だったのが「ありますよ〜」と一丁前に言うようになったことに気付いた。
言葉をどんどん吸収してる。
子どもの成長はめざましい。
「オルゴナイトってどんな効果があるの?」
ファミレスでMちゃんに聞かれた。
私は3月で辞めた職場で実際にあった出来事を伝えた。
オルゴナイトとの相互作用の立証なんかできなくても、本当に色んなことが穏やかに無事に流れてくれた具体的なエピソードを伝えた。
私は私で全員に手紙を書いた自分の心境の変化を説明した。
これまでなら無難な方を選んだけれど、ましてや派遣で1年も勤めなかった仕事で、手紙を書くのはかなり変だと思ったけれど、自分の「書こう」と咄嗟に思った考えを尊重して、それでその通りに動いた話をした。
話のついでに、ずっと苦手だったトップの人と最後は意思疎通ができるようになったことも言った。
しかも最後まで穏やかに過ごせたのは、その人が私が大御所勢揃いの前で「辞めます」と言う場を設定してくれたことも大きかった。
その人には、その人にしかない組織のリーダーの素質を色々書いたことも思い出した。
非常にユニークな方法で組織をまとめていて、それがそっくりそのままその人の強みだから、そんなこと書いたんだったなと話しながら思い起こしてた。
もう随分と昔のことみたいに感じる。
午前中、タイヤ交換に行ったのを思い出した。
あれ、それって今日の話だっけ?と思い出せないほど遠い過去になってた。
お昼は、桜えびと卵のチャーハンを作った。
前の夜に高野豆腐の肉詰めをして、その残りも添えたことを思い出した。
こんな風に素朴なごはんが普通に美味しい。
Mちゃんに会う前、家ではホロスコープをノートに写してた。
昨日奇跡的に私が小学校3年生の時に使ってたコンパスが出てきた。
引越しで未だにどこに何の荷物があるのかわからず、なのに適当に見た1箱目の中にそのコンパスが入ってたことには驚いた。
そのコンパスで大きな円を描いた。
30年の月日を重ねたコンパス。
もうそんなにも時間が経過したことに驚く。
Mちゃんと別れた直後の車内では、時計が11:59を表示していた。
11:59と見てもその日が終わる実感が湧かないけど、23:59という数字の並びを見ると1日が終わる実感を伴う。
だから、左手で助手席のカバンのポケットの中をガサゴソして携帯を出して、日付を見た。
もっと色んなことを思い出したけど、上に書いたことがその日の出来事として次々に思い浮かんだ。
メイとのアイスクリーム屋さんごっことか、30年もののコンパスとか、年下の面白キャラ上司への手紙とか、桜えびと卵のチャーハンを即興で作るとか。
どれもこれもみーんな人間してるなって思った。
そして何てことない1日の終わりを迎えて、今日がもう二度と来ないことを知る。
1年後メイがアイスクリーム屋さんごっこをしてるとは思えない。
1年後、この3月で辞めた仕事を思い出すことは皆無かもしれない。
私が8歳の時にやってきたコンパスは私が死んだらどこに行くんだろう。
1パック198円の桜えびは、もう次はいつその商品が売り出されるんだろう(お店オリジナルで仕入れた特殊なものだった)。
もう何もかも二度とはないことたちが集結して2018年4月7日を織り成してた。
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