2015年9月13日日曜日

流行りものこそ難しい

もう何ヶ月も前から書こうと思っていた「器使い」について。

毎日数記事は必ずチェックする料理ブログがある。

その先の広がりで、さらに新しい料理ブログを覗くことも日常茶飯事だ。

かれこれ1年位になるこの習慣、数ヶ月前からやたらと気になっていたのは食器。

料理ブログだけで言ったら、おそらく100以上のブログは見たかと思う。

たくさん見てわかったことは、そうした料理好きの人たちに人気のある食器というのがある。

特にここ最近は北欧系の食器がどうも流行りらしい。

たしかに、数年前、某スタイリストの方と某収納アドバイザーの方のそれぞれの普段使いの食器

の紹介で、まったく同じものが紹介されていたことは覚えている。

全然別の雑誌か本を見たのに、まったく同じものを使っているのは偶然だと思っていた。

それがこの1年ぐらいの日々の愉しみと化している料理ブログを見たことにより、数年前に見た

食器というのがとても人気のあるシリーズものだと最近知った。

百貨店などに行けば扱いのある食器で、例えばパスタとかを盛るような平たい皿1枚あたり、

五千円札を出しておつりがくる位の値段はする。

ブログを書いている人たちは、それらのシリーズものを家族の人数分揃えていたりする。

力の入れ方が半端ではないのはわかる。

ただ、いつも見ていて思うのは、その食器というのが実に難易度の高い食器だと思う。

形はシンプルだから使い勝手はそこそこいいとは思う。

ただ、形とは別に全てにおいて難しいのは、ものすごい奇抜なデザインか、もしくは原色に近い

カラフルな単色のどちらかを採用していて、ただ使えばいいという感じでは絶対にない。

そのデザイン又は色使いが独特すぎて、非常に使いにくそうに見える。

実際に、デザインの方で言えば、そのお皿をものすごくセンスよく使いこなせているのは1人2人

しかこれまでに見たことがない。

まずは、皿にのせる料理は相当限られる。

フライなんかの揚げ物はギリギリOKで、それ以外の和食は基本的に変。

使うとしたら洋食、しかもその洋食をセンス良く盛り付けないと、おそろしく変な構図になる。

わたしの勝手な予想だけど、原産国では多分、食卓にはどんと大皿料理がいくつか並び、

それらを銘々が自分の好きな量を取り分けるための取り皿として使うのかなと思う。

肉、サラダ、パンあたりなんかを適当によそうのが本国での使い方のような気がする。

実際にそういう盛り付け方だとその奇抜なデザインや色も変に浮いたりしない。

ちなみにわたしがもし仮にそのお皿を購入したとしたら、次はそれとセットで使う皿の購入も必要。

さらには、センスの良い人が作った献立そのままを模倣し、盛り付けも模倣しなければとてもじゃ

ないけど、使いこなせない。

わたしにはそれ位難しいお皿に見える。

あえて言えば、わたしはあの北欧食器特有の重さが苦手で、その時点で使い勝手は悪いから

まず手を出さない。

それは値段が安くても、やっぱり普段使いするには重すぎるから選ばない。


話があちこちに飛んでしまったけれど・・・、何が言いたかったのかと言うと。

そういう流行りだからと言って買っただろう人とそのデザインやお皿が好きで買っただろう人との

差がものすごくはっきりしている、と思っていつも見ている。

流行りの人は、まちがいなく「流行っている」という理由もどこかにあって買っていると思う。

ただそういう人たちの使い方は、「お皿泣いてるよ」って言いたくなる位にひどい。

センスの問題よりも、「好きで使ってます」という部分が欠落しているような気がする。

要は見た目が良いからという感じだろうか。

本人の雰囲気に合わないブランド物のバッグやアクセサリーを身につけているような感じだ。

もっとぼろくそに言うと、お皿だけが妙な存在感を強調し、料理がすたれて見える。

そしてそのお皿は全体のコーディネート力をものすごく要求するタイプで且つ日本特有のちまちま

おかずを盛るための小皿や小鉢と組み合わせるとなると至難の業。

だから北欧食器の皿だけがやたらと目立ち、他のものがちぐはぐしている。

他のものも流行りものに手を出したのが丸見えな人もいるから、そうなるとさらに奇妙だ。

料理そのものよりも、全体の変な組合せが最初に目に入ってしまう。

ブランドに喩えるなら、ヴィトンとシャネルとグッチを同時に身につけました、という感じ。

反対にその皿が好きで使っている人は、そのお皿が好きだというのがよく表れている。

そして普段の食事からそういう皿を生かせる料理のレシピを知っているし、それも無理なく普段

使いで色んな料理をのせている。

これを書くにあたり、ものすごいセンスが良いと感じる人の器使いを写真で何枚も確認した。

実はその人、和食の野菜炒めなんかも奇抜デザインの皿の上に盛っていた。

ただ、今回まじまじと見るまで全然気が付かずにいた。

それで何が違うんだろう?と思って観察した時に、その方はそれ以外のお皿の使い方も実に

上手で、そのお皿だけが浮かないような「調和力」みたいなのを毎日の食卓で発揮している。

そしてお皿を目で見て愉しめるような工夫もしている。

流行りではなく自分が好きなものたちを好きなように集めて、そしてそれらの器が互いに高め合う

ようなチョイスを自然としている感じだ。

ちなみにその方は普通のOLと兼業主婦をしている。

スタイリストとかそういう感じの仕事は一切していない。

本当に好きだと、こういう力も発揮できるんだ・・・と思った。


服でも食器でもそうだけど、「流行りもの」に手を出すのはけっこう難易度が高いと思う。

みんなが持てば持つ程、個人のセンスが問われる気がする。

物は「流行りだから」ではなくて、「好きだから」で選ぶ方が意外に無難だったりすると思っている。

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