私、過去に何回か結婚式の予行練習、それもキスの練習をしたことがある。
と書くと、何て経験豊富だろうかと思うけれど、言葉も間違っていないけれど、詳細はかなり違う。
当時その子は年長ぐらいだったのかな?
その男の子と私とで、結婚式ごっこなるものを時々してた。
やるのはあの誓いのキスのところだけで、私はベール代わりに風呂敷を頭にかぶり、その子がベールならぬ風呂敷をめくって私のほっぺにキスをする、本当にそれだけをやった。
(ほっぺに)キスしてあげようか?と言うと、それはいい、と毎回のごとく断られた(涙)。
いつだったか、その子に大きくなったら私と結婚しようよ!と言ってみた。
「ぶしまたさんとは結婚できないよ!」
「なんで?」
「だって、ケイタが大人になったら、その時ぶしまたさんはおばあちゃんだもん!」
子どものそのシュール過ぎる現実的理由が凄すぎた!
ちなみにこの子は、テレビに映る松嶋菜々子よりぶしまたさんの方が可愛い♡と言ってくれた、素晴らしいイケメンだった!
(無理矢理言わせていない)
たしか番組はアンパンマンだったと思う。
食パンマンが好きなドキンちゃんと他の女の子のキャラクターが、食パンマンを巡って女同士の熾烈な戦いをしていた。
それを見ていた幼児のマコトがボソッと私の方を向いて言った。
「女の人って怖いねー!」
マコトはめちゃくちゃ頭の良い子だった。
テレビの見方も独特で、普通の子どもが気付かないことをさらりと気付いていた。
あんなに小さいのに、アニメ越しに女の怖さを悟るんだから、凄すぎ!と思っていた。
そして他に感想があるだろうに、そのシュールな感想しか述べないのもマコトらしかった。
日曜の夜7時半、NHKで『ダーウィンが来た』という、動物の生態をレポートした番組がある。
大人も子どもも見ていて楽しめる番組で、重宝していた。
ある時のこと。
馬とかライオンみたいな感じのアフリカの大地にいそうな野生の動物が特集されていた。
途中で交尾のシーンが映った。
しかも何の解説もなく、ひたすら無音で交尾のシーンだけが流れるという、そういう時間がしばらく続いた。
子どもの1人がすかさず聞いてきた。
「ねぇあれ何してんの?」
「……」
「何やってんの、あれ?」
「仲良くしてるんだよ」
「何で?」
「子どもができるように仲良くしてるんだよ」
「ふーん」
場面が変わって子どもとの会話も終わったけれど、何ていう鋭さだろう…(汗)。
子どもの質問は、ストレート過ぎる。
「武士俣さん、この答え知ってる?」
小学2年生か3年生の男の子が、クイズ付きのアメの袋を見せてきた。
あのなぞなぞとかが書いてあって、袋の部分をペラっとめくると答えが書いてある、あの手のタイプ。
その子がわざわざゴミを取っておくはずもなく、そしてわざわざ「これわかる?」と聞いてくるから、絶対に良からぬものだというのは見る前からわかった。
質問はうろ覚えだけど、たしかこんな風だった。
「ABCのCは何でしょう?」
だから私は反対に聞いた。
「ねぇ、答え知ってんでしょ?」
「知ってるよ!」
「私わかんないから、答え言って!」
「えっ(〃ω〃)?」
「知ってんでしょ?言って!」
「やだよー!」
子どもは私のまさかの返しにたじろいで、可愛らしい反応をしていた。
っていうか、そんななぞなぞのアメ、どこに売ってんだろう…。
あれ以来見たことがない。
記憶に上ったシュールな会話たち。
栄養を使い切った心にとても染み入る。
今日も今日で、人生の中のかなり大事な選択肢の話をする。
一生を左右するぐらいの結構大きな選択肢の話。
私じゃなくて相手の人の。
今日することは、本人の本音を引き出すこと。
時々そういう役割みたいなのが回ってくるけれど、そうした大きなエネルギーが必要な時、こうしてくだらないこと思い出して心がホッとするのはいいなぁといつも思う。
作家の吉本ばななさんが何かの本で、死ぬ時に持っていけるのは思い出だけみたいなことを言っていた。
思い出だけだから、それを人生の中でたくさん持てる人生でありたい、みたいなことを言っていた。
当時は超くだらないと思っていた会話が心に今響く。
思い出はどんなに時間が経っても温かい。
最後に。
私を松嶋菜々子より可愛いと言ってくれたケイタの名言を紹介。
また例のごとく、『ダーウィンが来た』を見ていた。
アイアイ(猿)の特集だった。
夜暗い中、木の枝に1匹でいて木の実を食べているアイアイを見て言った。
「アイアイかわいそう」
「どうして?」
「だってアイアイひとりでさみしいもん」
「ケイタはかわいそう?」
「うんうん」
「どうして?」
「ケイタはおとうさんとおばあちゃんがいるからさみしくないもん」
※文中の名前は全て仮名
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