>>>2017年9月最終週火曜…ラスト2日
1年前のその朝をどうやって迎えたんだろう。
あと2日あるよ、ではなくて、あと2日で終わってしまう…。
そう思って朝を迎えたと思う。
その日も朝行くとその人はどこかに出かけていなかったような気がする。
いなくなったらいなくなったで案外とスッキリしたり、すぐに忘れるかもしれない…なんて考えたこともあった。
この日の日記を読むとかなり支離滅裂なことを書いている。
この辺りはうろ覚えだけど、私は寂しすぎて体が痛くなった、とある。
首の後ろから胸の後ろ側にあたるところまで、泣く時・泣く寸前の時に感じるような痛みと息苦しさに襲われてる。
その時は泣いてもいないのに痛かったみたいで、多分だけど、心の方が限界でとうとう体にきたんだと思う。
その痛みの前後で寂しくて泣いたくせして、今度は「っていうか(その人をいいと思っている気持ち自体)私の勘違い?」とか言い出してる。
何も相手のことを知らないのに、寂しいのもおかしいし、気持ちも自分の勘違いじゃないかと書いている。
その人がしてくれた気遣いもたまたまで意味なんて何にもなかった…、そう思うように自分を仕向けようとしている。
この期に及んでまだ自分を疑うタフな神経。
この辺りは最後の挨拶ができるかどうかに頭を悩ませ、冷静に普通に挨拶をすることに全力を尽くしていた。
車の中で1分にもならないような挨拶文を考えては声に出して練習する徹底ぶりだった。
もう一つ、その日、私は小さな決断をした。
ずっと最後まで迷っていたことがあった。
本当にちょっとしたもの、お菓子とか栄養ドリンク的なものとか、何かしら渡すかどうかを迷っていた。
渡したい気持ちよりも、迷惑になりたくない気持ちが勝っていた。
しかも何だったらいいのかもわからなかった。
職場の送別会の時に贈られたものを聞いたら、やめようと思った。
実用的且つきちんとしたものが用意されてて、その時になってなぜか私は「そうだ、その人はそういう立場の人だった」と思い出して、中途半端なものを用意するのもおかしい気がした。
今振り返ってみると、変な発想だと思う。
これまでだって上司に贈り物を個人的に用意したことがあったけれど、「立場」がどうのこうのなんて考えず、単純にその人に合いそうなものを用意してた。
よほど気が動転してたんだと思う。
一応仕事が終わった後にいくつか店には見に行った。
でも頭で色々言い訳して、例えば行為そのものが重たいし、もう反応がなければ何もしないと約束したし、引っ越すからたとえ食べてなくなるものでも荷物になるとか…。
いくつもの言い訳をつけて、そうだペンジュラムにここは聞こう!となってペンジュラムもNOを示したから、もう用意はやめようと決断した。
とにかく少しでも平穏無事に終わることが大切でもあったから、ここで余計な神経を使うのは自分としてもキツイと思って、潔く決めた。
実際に当日を迎えた時に渡せる状況ではなかったから、本当にやめといて良かったと思った。
そしてたとえ気まずくなっても、さっさと手紙を渡して良かったとも思った。
手紙も書いた直後は最終日に渡す方が自分も相手も気楽かな…と思ったけれど、状況が読めなさすぎてやめた。
最終日、後輩くんが何かしらを渡していたけれど、あんな関係ではないから、大真面目に自分の判断で合っていたと思った。
しかもいらないとか受け取れないとか突き返される心配もあったから、それでやめたのもあった。
思い出したら悲しくなってきた。
ちょっとしたものでも一歩間違えたら迷惑になるから、やめといて良かった。
それ以前は職場の男性たちに個人的に何かを贈る時も、何のわだかまりもなく渡せた。
男性への個人的な贈り物は、ハンカチか本の2択だったけれど、どちらもすっと差し出せたし、言える間柄なら「趣味が違ってたら、適当に売るなり人にあげるなりしてくださいね〜!」ぐらいのことまで言って渡してた。
その人にはそんな軽口を叩ける状況になかったから、もうやめやめ!何もしないのが一番!という結論に至った。
今すごい変なことを思い出した。
そんなこといつ思ったんだろう…。
でも絶対に異動と聞いてから思ったのは覚えてる。
付き合えたとするなら、移動日当日はおにぎり握って渡せたのになぁなんて考えた自分がいた。
夢の中じゃなくて、普通に起き上がっている時に。
あまりに辛すぎておかしな発想でも始めたのか、そういう非現実的なことを想像することで目の前の現実逃避を図ったのかは知らない。
でもどこにもそんなこと書いてないけれど、そんなことを考えた自分がいた。
ちなみに最後仕事を辞める時、全員にお菓子とあと個人的にお世話になった人たちには個別の小さなプレゼントを用意した。
その時に思った。
その人がもしいたならその人にも何か渡せたのになぁって。
まぁ最もその人がいたら私は仕事を辞めなかったかもしれないけれど。
そうしたら何を用意したんだろう。
なんとなくパッと思いついたのは、タオルだった。
ハンドタオル。
それはそうと、ものすごく今さらだけど、手紙は迷惑なものになってないといいなぁと思う。
今さら1年前のことを言及するのもなんだけど、本当に迷惑になってないといい。
「1分だけ普通にふるまえるパワーをください。」
その日の日記の最後にそう書いて締めくくっている。
自分で言うのもなんだけど、何て可愛らしいことを願っていたんだろう…って思う(笑)。
でも、本気で欲しかった。
1分でいい、まるで何事もなかったかのように、普通に挨拶して普通にその人にありがとうと伝える、それをやりきるパワーが欲しかった。
泣かないように、気持ちが違う方に行ってしまわないように、ただただ目の前のその人への挨拶に集中できる力が欲しかった。
実は練習は、かなりな回数を重ねたけれど、言っている途中で私は何度も声が震えたし、泣いた時もあった。
だから、1分だけでいい、普通にふるまえるパワーが欲しかった。
頼むよー、本当に1分だけでいいから頼むよー、そういう気持ちだった。
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