2018年8月13日月曜日

大雪とツナおにぎり

2017年1月14日

『大雪とツナおにぎり』

年に数回奇行と呼ばれるような行動を取りたくなる。

誰にも迷惑をかけない代わりに生産性も利益もない。

突然思いついて、何が何でもしたくなって、そして最後やり終わって「奇行ってこういうこと言うんだろうなあ」と薄ぼんやりと考える。


今回の思いつきは、最終バスの最寄りバス停に降りたら、すぐ近くのコンビニに寄っておにぎり買って大雪が降りしきる中食べながら帰る、というものだった。

別に大したことないし、大きな冒険でもない。

でも、雪が降りしきる中コンビニおにぎりを頬張るのはなんとも滑稽でありつつ粋な感じもした。


実際にコンビニに寄った。

バスの中では、ゆかりおにぎりの中に梅干しのかけらがところどころ混じってるものを思い浮かべていた。

少し前のバス停付近でコンビニのトラックとすれ違っただけあって、おにぎりコーナーは充実してた。

全種類があった。

でもなぜかお目あてのおにぎりはなかった。

作戦変更。

梅おにぎりと大好物のツナマヨおにぎりの間で迷った。

お酒の後としては、梅の方がさっぱりしていていい。

だけど口とは別になぜかツナマヨが気になった。

どこか違和感を感じながらも手にとってレジに運んだのはツナマヨだった。


コンビニ出てすぐのひさしでおにぎりの海苔をつけておにぎりをセットした。

セット完了すると一口また一口と食べながら雪道を歩いた。

この冬3、4回目に登場した長靴を履いていた。


食べながらツナマヨである理由がわかった。

ツナマヨは口の中を楽しく陽気にしてくれた。

口の中が楽しく陽気だなんて可笑しな言い方だけど、食べた時に一番しっくりくる感じは「楽しく陽気」だった。

これが梅ならそうはいかなかった。

寂しさが増すだけだったと思う。

寒い外に梅干しだったら、しんみりするだけで楽しく陽気とはいかなかっただろう。


途中、某店舗跡の空き地に寄り道した。

いつかの夏の夜みたいに、駐車場に寝転んだ。

今回の場合は正しくは雪の上だった。

冷たさもわからず不思議な感じだった。

懐かしさでも哀愁でもない不思議な感触だった。

ふと我に返って、風邪引いても嫌だからと体を起こした。

通りに目をやると、雪の中をゆっくり走るパトカーが見えた。

何もこのタイミングでパトカーが通らなくてもいいのに、と思いつつ、職務質問などされませんように…と祈りつつ、何事もなかったかのように家に向かう道へと戻った。


唯一無二のものに憧れる。

今しかないと思うと体が動く。



2018年8月13日

先日、携帯のメモを過去にさかのぼって見た時に、出てきたメモだった。

多分ブログにはアップしてないと思う。

当時はブログがいつの間にか無期休止中になっていたから。

上の文章は、その日の夜のうちに書いたはず。

その時のことを文章にしたことも関係してると思うけれど、その日のことはよく覚えてる。

飲み会が誰と何の飲み会かは覚えてないけれど、近所のコンビニでツナマヨを買ったことや、雪の中それを頬張りながら歩いたこと、そして何よりも梅のおにぎりがものすごく鮮明に記憶にある。

梅のおにぎりは、実は場所は新潟ではなく池袋だった。

私は20代半ばで、通信の大学のスクーリングの最終日だった。

どうして具合が悪くなったのか覚えていないけれど、気持ち悪かったことは覚えてる。

薬を飲むにしても何かをお腹に入れないとまずい。

元々薬を飲む習慣がないから、年に何回も飲まない薬を飲む時は、お腹を空っぽにして飲むのは怖い。

それで2軒ないし3軒の異なるコンビニに寄って、おにぎりを探した。

具合が悪くて薬を飲むためにおにぎりを買うなんてその時が初めてだったからよく覚えてる。

ズラーッと色んな種類のおにぎりが並んだ棚を前に、この具合に合う味を気分で探した。

大好きなツナマヨは即却下だった。

さっぱりしたものが食べたくて仕方なかった。

そこで目に入ったのが、カリカリ梅の入った混ぜご飯風のおにぎりだった。

地元産の新潟産コシヒカリで育ったのと、梅干しは母が漬けたものに慣れ親しんできたから、カリカリ梅は好きだけれど、その時のおにぎりほど不味いものはなかった。

ごはんもカリカリ梅もそこにプラスで味付けされてる化学調味料の味も、具合が悪いのにマックス不味さをものすごくアピールしてた。

普段コンビニやスーパーのおにぎりも、ジャンクフードも何てことない。

だけど、具合悪かったその時はダメだった。

それでも薬を飲むためだけに無理矢理口の中に入れた。

その時のことが鮮明にあって、なぜか飲み会の帰りに食べたいと思ったのはそのカリカリ梅のおにぎりだった。

不味かったと記憶しているのに、体はあのカリカリ梅のおにぎりを欲した。

でも結局ツナマヨにした。

ツナマヨで口の中が楽しくて陽気になったことも覚えている。

あの時の気分にピッタリと寄り添っていた。

ちなみに雪の上に寝転んだエピソードも、外気が寒くない頃その店舗を壊してコンクリートかアスファルトで埋め立てた上にゴロンと仰向けになったエピソードも覚えてる。

奇行みたいではあるけれど、私はあの感触が実は好きでたまらない。

日中は車の通りや人の通りがずっとあるから無理で、夜は夜でも車も人も通らないようなその遅い時間にならないとできない。

もっと自然が多くて人通りゼロの場所も田舎には山ほどあるけれど、今度そうしたところは夜行性の動物がウロウロしてるから落ち着いて寝転べない。

街中のそこなら、そういう意味で車・人・動物のいずれもいない。

しかも通りから数メートル離れているから、目立たないし、多分見えない。

真上に星空があって、それは立ちながら見る空とは全く違って見える。

自分の体全体が地面に触れることなんてそうそうないから、その感触もまた楽しい。

確かにイレギュラーで変かもしれないけれど、私は一生のうちで地面に寝転がって星空を眺めたり、地面の感触を体で味わうことの方がそういう経験がないよりも得した気分になれる。

決して他人様に大きな声で薦められるものではないけれど、やってみたらその楽しさがわかる人はわかると思う。

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