2017年11月20日月曜日

はじめての料理教室


人生ではじめての料理教室に参加してきた。

私の場合、10代の頃、自炊スタートと共に自分で何となくごはんを作るようになったから、これまで「料理教室」という習い事の選択肢は一度も頭に思い浮かばなかった。

困りもしなければ、レシピはなくともこれとこれを入れたらこの味になる、というのは何となくできていたから、お金を払ってまで料理を習いに行くという発想がなかった。

今回行った理由は、某有名レストランシェフだった人による家でもできる本格洋食で、受講費が千円!!、1回限りでの参加が可能なタイプのものだったから。

メニューの名前は、カルパッチョ以外はわからなかったけれど、そこがまたより一層魅力的だった。

名前も知らないから、余計と特別感が増した。

料理教室の案内は、たまたま手に取ったタウン情報誌にあった。

申込は抽選による、とあったから急いで電話して申し込んだ。

申し込んだ際、「先生によるデモンストレーション形式で、参加者の方は料理はせずにただ見てメモを取るみたいなスタイルですがよろしいですか?」と聞かれた。

積極的に料理教室で手法を習いたいわけでもない私は、二つ返事で参加希望を伝えた。

そして忘れかけていた頃、家に当選のハガキが届いた。

 

出てみての感想は、「めちゃくちゃ良かった!」だった。

本当に先生が家庭用サイズのオープンキッチンで説明しながら作り、参加者は目の前のカウンターテーブルに座って見ながら、個人の好きでメモを取るという風だった。

料理しながらあれこれメモを取るなんていう技はできないから、今回みたいなスタイルが私は好きなんだとわかった。

しかも先生もこの道40年以上のキャリアの持ち主でも高飛車要素は全くなく、家庭でもできるようにわかりやすく説明してくれる。

気付けば、参加者は私が一番若いんじゃないかというぐらいに、うんと年配の女性たち、孫がみんないるような、そんな年代の人が多かった。

多分家でも毎日ごはんを作っているのだろう、自分で作るんじゃなくプロに作ってもらいながらプロの技を伝授してもらう、そんなスタイルの方がいいわ、と言わんばかりの教室の雰囲気だった。

 

ちなみにカルパッチョは本当に感動的なデモンストレーションだった。

私は当初、今回の3つの料理のうち、唯一知っていたカルパッチョ、何なら自分でも作れるカルパッチョには、全く期待をしていなかった。

それならレバーパテとか自分じゃ絶対に作ったことのないメニューが良かったなんて心の中で毒づいていたぐらいだった。

それが実際の先生の作り方を見て、カルパッチョの本当の作り方を初めて知ったし、そしてちょっとした工夫でものすごく美味しくそしておしゃれに仕上げることができると知った。

しかも特別な材料は使っていないのに、その辺のお店よりもうんと美味しいカルパッチョが作れると知り、ますますカルパッチョが作りたくなった。

頭の中で「これはいつか結婚できたら、絶対に相手の人に作ってあげよう」と心に強く誓ったぐらいだった(笑)。

そして「カルパッチョを盛るためのお皿がいる!」とまたお皿への購買意欲も無駄に増やしていた。

1人暮らしをしていた頃、私は基本的に食器は2組ずつ買っていた。

それは相手もいないのに「結婚したら…同棲したら…」と妄想し、それなら絶対に2つ必要と、在庫がある時はほぼほぼ2組ずつ買うことを徹底していた。

結局一度もそんな機会は訪れず、色んな友達が家に来てくれる度にそれらの食器を出し、食器を誉められ調子に乗ってその話をし、来る人来る人の失笑を買うだけに終わっていた。

今度こそ、未来に使えるお皿を購入したいと、カルパッチョのきれいな盛り方を見て、料理教室とは全く関係のない未来を1人で想像していた。

 

あとこれはおまけのおまけで、今回の料理教室に出て自分のメモが人と違うこともよくわかった。

30代になってから、私は至るところで色んな人からメモの取り方がすごくいいと誉められることが増えた。

単純に嬉しかったからその都度「ありがとう」とはお礼を言ったけれど、正直自分のメモの何がいいのか全然わからなかった。







(写真追記:このデザートは、結婚50周年用に作られたもの、というならわしも素敵だった)


私の素のメモは写真のような感じで、はっきり言ってぐちゃぐちゃだ。

これは私しか読み解けないメモになっている。

私は自分さえ読み解ければそれで問題ないから、この状態に決して不満はない。

色を変えているのはまるで意味があるようだけれど、今回に限っては使い分けではなくてどれがどの時のメモかを後から見てわかるようにするために、色んな色を使ったに過ぎなかった。

それはそうと、私のメモはこの後にちょっとした違いが生まれる。

今回は自分がわかればいいからそれで終わりだけど、これが人に見せるものや渡すもの、又は人前で発表するものとなると、私は聞いたことを逐一すべて時系列に情報を付け加えてもう一度書き直す。

書き直す際、私は自分の言葉を基本的には入れない。

相手から発した言葉をそっくりそのまま書き直しの時に使う。

そういうところを多分誉められたんだと思う。

今回他の人たちのメモの取り方を見て、私ほどごちゃごちゃと書いてる人は誰もいないことがわかった。

とにかく少しでも大事だと思ったことは、その場ですぐにメモする。

後から要らないメモであればそこは飛ばせばいい。

だけど、メモしておかないと、後から何だったかは思い出せない。

だからその時その時で少しでも印象に残ったらメモを取る。

自分のメモの取り方と人のメモの取り方を見比べるなんてそもそもしないから、そういう意味でもすごく貴重な料理教室の機会だった。

 

最後、先生が作った料理をその場で全部美味しくいただいた。




 写真:皮をむいたレモンに熱したアルコールをかけて、フライパンの中のソースに注いでる様子


(人生で食べたアイスクリームで一番おいしいアイスクリームデザートだった♪)


同じメニューをお店で頼んだとしても1000円では食べられない。

しかもお腹いっぱいになる位に、盛りが良かった。

写真だとたくさんに見えないけれど、食べるとお腹が満腹になるほどの量だった。

気さくな先生も良くて、また日程が合えばこの先生の料理教室に行きたいなぁと思った。

「料理って人をしあわせにする」

初めてそういうことを感じさせてくれるプロの料理人の方にお会いした。

よく料理人の方たちはそういうことを言うけれど、私にはいまいちその言葉の真意が伝わってこなかった。

でも、その先生の料理を食べて私は心底「しあわせ」を感じていた。

美味しいものを人に伝えたい、食べさせたい、先生はそんな言葉を1つとして言わなかったけれど、でも先生のそういう気持ちが料理を通じてとても強く伝わってきた。

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