20代の頃はまった某生活雑誌で、時々「綿100%」の特集が組まれていた。
当時は何がそんなに良いのかさっぱりわからず、そして素材にこだわっている人たちをどこかで
面倒くさい人とか、細かいことにこだわる人、という風に捉えていた。
唯一こだわったことは、手入れが面倒かそうでないか位だった。
洗濯の度にごわごわになったり、毛玉が発生しやすかったり、アイロン掛けが必要なんていうのは
それだけで手間がかかり、そしてそういう手間を面倒だと思うわたしには論外の選択だった。
そして綿100%の服を着ていても、その触感の良さには気付かずにいた。
最初に綿100%の触感の良さに気付いたのは、多分今から3~4年前。
1枚の長袖Tシャツだった。
着た瞬間にその肌触りの良さがわかった。
それまでの綿100%が何だったのかと思ったほどに、全く異次元の触感だった。
それから気をつけて見ているけれども、どうも同じ綿100%でも当たりはずれがあるらしい。
加工の仕方が違うのだろうけれど、毎回毎回当たりというわけではない。
この春、定価1万円台という高級ルームウエア的なズボンを1枚母から譲り受けた。
母は服の修整会社に勤めている。
その会社では、一旦完成したもので不具合のあるものを直すことを主に行っている。
扱う製品が、それこそデパートに並ぶような衣類が大多数で、そして最終的に引き取り手がないと
母たち社員に格安で売られたりする。
デパートで買うのが馬鹿らしくなる位の値段で引き取られ、そのおこぼれをわたしがもらった。
綿100%のズボン、値札には5桁の数字が並んでいた。
はじめはブランド製品だからその値段だと思ったけれども、履いてみてそれは素材も高級品だと
わかった。
去年の夏、泣く泣くそれまで愛用していた5分丈の短パンを手放し、それ以来「これ!」というもの
に出会わずにいた。
今回母からもらったものは、長ズボンだ。
夏だから履かないかなと思ったけれども、とりあえず去年の代用品に出会うまでは履こうか、
ということで履き始めた。
繋ぎで履こうと思って履き始めたものの、これがものすごく良い。
長ズボンなのに、風通しが良いし柔らかい。
今の季節なら、その日に洗濯してその日に乾くから、他のものは履かずにそればかりを繰り返し
家で履いている。
すっかり綿100%に開花したわたしは、この間ユニクロで3枚綿100%のノースリーブを買った。
これも大当たりだった。
触り心地がとっても良い。
最近のユニクロで綿100%の品物を見つけるのはけっこう至難の業だ。
そんな中、たまたま見つけた上にしかも夏物終わりで特価で出ていた。
ものすごく良い買物をした。
こういう素材の良さに気付けるようになるのは、実は大人になってからなのかもしれない。
早い人は子どもの頃から気付くと思うけれども、わたしなんかは10代20代の頃は素材よりも、
デザイン重視だった。
大学生の頃だったと思うけれども、年配の人に「若いうちは色々冒険して着てみたらいいわよ。
年を取ったら着れないものって必ずあるから、何でも今のうちよ。」と言われたことがあった。
誰に言われたかも忘れたけれど、たしかにその通りで、原色のものとか奇抜なデザインとか、
とにかく好き放題に服を選んで着ていた。
当時はもう少し大人になったら違うものを好きになったりする自分が想像すらできなかったけれど、
今の自分は当時とはまた違った落ち着いた色を好むようになった。
そしてデザインも、飽きずに繰り返し着れるもの、色んな服と組み合わせられるものを選ぶように
なってきた。
そこにプラスして今は素材、特に触り心地も選ぶ際の大事なポイントとして入るようになった。
ちなみに、唯一変わらないのは、手入れが簡単であること。
これはやはり年を重ねようが、元来の面倒くさがりな性格はそのまま引き継がれ、衣類管理の
ストレスを極力減らすことには相変わらず余念がない。
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