2015年5月26日火曜日

オレンジ色のキラキラの正体

向かいのベージュ色のアパートがオレンジの夕焼けに染まっている。

半透明色のカーテンもオレンジに染まって、時々風を受けるとひらひらとカーテンが踊る。

それを目にしながらこの日記を書いている。

今日はオレンジ日和だ。


2時間ほど前、近所の大きな公園へおやつと日記と本とを持って行ってきた。

でっかい公園はおそらく10以上の出入り口がある。

わたしの家から一番近い入口がいつもの入場ルートだ。

だけど今日は公園内の目指すべきテーブル付ベンチがあって、そこに行くにはその入口はちょっと

だけマイナス点がある。

公園の入口から数メートルのところに1.3kmほどのランニングコースがある。

そのランニングコースは時計と反対回りにぐるぐる回ると暗黙の了解で決められていて、

それを逆走するというのはなかなか勇気のいる行為だ。

わたしが目指すテーブル付ベンチに向かうには、ランニングコースを逆走するか、又はもう50m程

先の別の入口から入るか、どちらかの選択肢だった。

時間帯的に、必ず高校や大学とおぼしき部活動の若者たち+健康維持の大人たちで溢れている

時間だから、逆走ではなくもう少し歩いた先の出入り口を利用することに決めた。

さぁ公園内に入ろうという頃、オレンジ色にキラキラしているパッと見5~10cmの物体らしきもの

と遭遇した。

最初は、木陰と太陽の光の加減でそんな物体らしきものが幻想的に見えてるのかと思った。

ただ、近付けば近付くほど、その物体は動きを持っている。

しかも、一箇所にとどまらず、近くをぐるぐると旋回している。

次に思ったのは、クモの巣だった。

クモの巣が風に当たって、くるくると回転しているのかと。

さらに近付くとクモの巣ではないとわかった。

やけにうすぼんやりしているけど、蝶々かなと思った。

オレンジのアゲハ蝶にしてはかなり色が薄いし、なんだか幻のような幻覚でも見ているのか?と

いうようなはかなさではあったけど、蝶々と思えなくもない。

ただ蝶々にしては、その羽の動き=オレンジのキラキラがやたらと細かくて、そんな風に蝶々は

飛ぶだろうか?と思った。

さらにそのオレンジ色のキラキラしたものに近付く。

そのキラキラしたものと1m程の距離になった時、ようやくその正体を突き止めた。

なんと、季節外れのトンボだった。

オレンジ色のキラキラは、トンボの4枚の無色の羽で、それがひらひらする度に絶妙な光との

コラボが生まれてキラキラとオレンジ色の光をあたりに振りまいていた。

しばらくわたしはその場に立ち尽くして、そのトンボの飛ぶ姿をひたすら見ていた。

5月のさわやかな新緑の季節に、どういうわけか今ご登場しているトンボ。

にわか信じがたい光景だったけど、何度見てもやっぱりトンボ。

トンボが木の影に隠れてどこに行ったかわからなくなってから、例のベンチを目指した。


ふと、あの時なぜか「逆走は嫌だ」と思ったことを思い出した。

実はもう1つベンチへ向かう道はあった。

要は、いつもの入口から入ってランニングコースを半周ほどしたところでベンチへ向かう別の道が

現れる。

ベンチへ向かう時は、いつもその半周コースだ。

だけど、暑かったのと、そのランニングコースをぐるぐる回る気力もないのとで、いつもなら絶対に

使わない入口を使ったのが、今日のトンボとの遭遇に結びついた。

この時期にトンボを見つけよう!と頭で考えて導き出せるようなものではない。

想像すらできなかった出来事や物事に遭遇する時、思い浮かぶ言葉がある。

「something great」

何か偉大なるもの。

何かすごいもの。

どう訳すといいのかわからないけど、あくまでsomething、何かだ。

この言葉の提唱者は「この人!」と自信を持って言えないけど、わたしがこの言葉を耳にした

最初の表現者は遺伝子の研究をされている学者の村上和雄先生だ。

講演会で話されていた言葉はすごかった。

遺伝子は分子や量子力学?とか、とにかくミクロのさらにその先の単位まで成り立ちを見ていく

らしい。

今科学で究明できる最小単位数で遺伝子を見ても未だもってその大元の成り立ちは不明らしい。

そしてそれを再生することもできない。

ということは、遺伝子含め人間・動物・植物・地球・天体、なんでもその大元は「something great」

から成り立っている。

科学すらも太刀打ちできない、何かすごいもので命が成り立っている、そんなお話だった。


今日はこのトンボのおかげで、ちょいと行き詰まりだったことのヒントも得た。

頭で考えれば考えるほど迷走しまくるという悪循環だったけど、頭では考えられないような未知の

領域(=トンボとの遭遇)にたまたま今日は行き当たり、そうだそうだ、この未知の領域に対して、

わたしは全幅の信頼を寄せていることを思い出した。

頭が無能だとは言わないけど、頭ではどうにもならないこともある。

なのに、頭で、技術や小手先の知識で何とかしようとしていた。

そりゃ、答えも出んわな・・・と思った。

持ち歩いた本もそんなのを期待してかばんに入れたわけではなかったけど、ぱっと開いたところに

まさにトンボと直結するような話が書かれてあった。


オレンジ日和のカーテンショーはもう終わった。

これから夜がやってくる。

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