今朝ずっと気になっていた資料の整理をするのに、はさみを使った。
このはさみは日常使い用として、2代目はさみとして任命されたものだ。
任命もなにも、わたしが勝手にこれを使おうと決めただけだけど。
初代はさみは、小学校入学と同時に学校から配られたサクラのはさみだ。
あの、文具メーカーのサクラだ。
特段丁寧に使ったわけではなかったけれど、とにかく丈夫が取り柄と言わんばかりに、
実に長い年月、わたしの「切る」パートナーとして大活躍してくれた。
それが数年前、ぽっくりとご臨終を迎えることになった。
本当にぽっくりで、ある日突然、持ち手の部分のプラスチックがぱきっと割れてしまった。
プラスチックだから経年劣化によるものだろうけど、
一瞬でもう修理不可能の状態になってしまった。
泣きたくなるぐらいにショックだったけど、そこはぐっとこらえた。
2代目はさみをどうしようかしばらく考えていた。
ただ、はさみというのは、何かと日常で必要になってくる。
そんなにおちおちと時間をかけて、丁寧に選んでいる場合でもなかった。
だけど、25年近く使った初代はさみを思うと、2代目にもおのずとそれ位長く働いて欲しいと
自分勝手に思い、けど店で何種類ものはさみを見てもどれもぴんとこず、はさみ探しは難航した。
良いものを買おうか、そもそもどんな形を買って良いのかすら見当がつかなかった。
ほんと、はさみ1つとっても、種類が多くて驚いた。
で、それはどうしてそんな風にひょっこり姿を現したのか忘れたけど、
わたしは家の中にあったはさみをそのまま2代目はさみに決めた。
そのはさみは、亡くなった祖母の裁縫用の糸切りばさみとして使われていたものだ。
糸切りばさみと言っても、通常の紙を切るものと同じような形をしている。
なぜわたしがそれを引き取れたのかも忘れたけど、とにかく形見としてもらった。
ただし、わたしはそのずっと前から裁縫に凝り出していたから、はさみも自前で買ったもの、
織物系の仕事に就いてる父と母からもらったもの、わたしが手芸好きと知ってこれ良かったら
もらってと言われて手芸の先生のようなお手前のご婦人からいただいたもの、
すでに数種類を所持していた。
だからばばちゃん(祖母)のはさみは、全く出番がなかった。
少しつぶれている鈴もついていて、良い音色のするはさみ。
これを使わない手はないと思った。
ただ形見として持っているよりも、物として使って愛着を深める方がはるかに良いと感じた。
そうして誕生した2代目はさみだった。
今日、何枚もの紙をちょきちょきと切りながら、ばばちゃんはこれで何を切っていたんだろう・・・
と考えた。
昔の人だから、とにかく大切に物を使っていた。
今のはさみだって、一体いつからばばちゃんが使っていたものかはわからない。
こんな風にして、故人のものを引き継いで、さらに日常使いできるって、
ものすごく贅沢なことだと思ってる。
日常使いのはさみとしても2代目だけど、ばばちゃんから引き継いで今わたしが使ってる、
という意味でも2代目のはさみとして、今毎日のように大活躍している。
0 件のコメント:
コメントを投稿