ほんの1時間前まで、自分は豪華なものとかきらびやかなものが苦手だと思っていた。
元々そういうものに興味がなかったけど、時には嫌悪感に近いものすら抱いていた。
日常生活に差し支えがあるわけではないし、自分の住む世界とは別物と捉えれば、
なんら問題はない。
ただふと、何がそんなに苦手というか嫌悪させるのかな・・・と思った。
はっきり言って、あまり重要ではない位置の価値観だと決めつけていたから、
いつもならスルーして終わった。
でも今回は、なぜそれが苦手かわかって、おかげで自分が大事にしたいものが何かわかった。
そもそものきっかけは、趣味の料理ブログ読み漁りから始まった。
時々面白いページに辿り着くこともあるから、その記事にコメントした人や「いいね」をした人の
ブログも見に行くことがある。
そうやって行き着いたページが、テーブルコーディネーターかな?という人だった。
テーブルコーディネートのことは全然予備知識もないから、何がどうとかはわからない。
ただ、わたしがすっごく気になったのは、その方の子どもの表情だった。
自宅でパーティーしました的なもので、本当に雑誌とかに載っていそうな、
気合の入ったテーブルセッティング。
それも見ていて疲れを感じるものだったけど(3歳の子どもの家で普通にナイフが出てくる)、
さらに気になったのは乾杯のグラスだ。
素材は不明だけど、ワイングラスの形をしたコップで子どもも乾杯している写真。
子どもの目が死んでるというか、本当に覇気が無い。
(ちなみに子どもの誕生日パーティー)
お母さんが満足するためのテーブルでしかないなぁというのが一目瞭然だった。
あまりに気になって、子どもが写っている写真を何枚か見た。
こんなにも、子どもの笑顔なり何か感情が乗っていない表情ばかりが並ぶ写真も
ものすごくめずらしかった。
とぼけたり、変顔したり、おしゃまだったり、大泣きしたり、
子どもだからこそ出てくる表情が1枚もなかったことにわたしはただただ驚いた。
子どもだってぼけっとしたり、疲れ果てたりはする。
だからすべて表情が笑顔でにっこにこで・・・なんてことは有り得ないのはわかる。
目が半開きなことだってある。
どんな表情でもいいけれど、とにかく「生きてる」感じがあまりにも伝わってこないのが
とっても不自然でぎょっとした。
そこでようやく気付いた。
豪華なものが苦手なんじゃなくて、物質にあまりに重きを置き過ぎて、
肝心要の目の前の人が無視されてるような状態がわたしはすごく苦手なんだとわかった。
塾に勤めていた時も、事業経営されてるおうちの子どもが来ていた。
そういう子どもが何人かに1人の割合で入ってくるし、何ら不思議はなかったけど、
1人だけ忘れられない子どもがいる。
ドラマとかでよくありがちな「お金で何でも解決」型の家庭のようだった。
子どもはほんっとに活発だったし、感性もダイナミックですごく面白い子だったけど、
親との関係がうまくいってないのは見ていてわかった。
愛情不足なんて簡単に言っていいのかわからないけど、そういう風だった。
色々買い与えられてる様子だったけど、その子が欲しいのはそれじゃなくて、
親との時間や親からの注意だったと思う。
喜怒哀楽の激しい子でもあったけど、それをありのまま出せるのがうれしそうでもあった。
家だとそのままを出しきれないのか、出していても親の「今は忙しい」で相手にしてもらえないのか、
そのどちらかだろうなぁというのは見ていて伝わってきた。
その子はきらびやかなものには、何一つ興味を持っている風ではなかったから、
次から次へと(小学生が持つようなものではない高価な)ものを失くすんです、
と親が言っていた。
そして、ある時思いもよらないところから、その子が軽犯罪に手を染めていることが判明した。
わたしは犯罪云々よりも、SOSが出せて良かったね、と思いながら聞いていた。
情報の経由が、本人や保護者ではなかったから、どうにもできなかったけど、
その物質的な豊かさではなく、心を通わせるチャンス=心の面での豊かさになればいいと思った。
だから、目に見える豪華さとかが嫌いなわけじゃない、
むしろ、こういうのっていいなぁと思うものだって時にはある。
そうではなくて、目に見えない部分、でもどうやったって隠しきれない部分、
そういうものをいかに大事にしているかしていないかで、価値が変わってくる。
物に匹敵するぐらいに周りの人を大事にできると、それは豪華なだけじゃなく、
さらにきらきらと輝きを増す。
そういうものは、見ていても気持ちいい。
そう、苦手ではなかった。
ただ、その物の先にあるものが何かによって、好きだったり嫌いだったりしていたんだ、
ということがわかった。
そして好きなものというのは、そこに人の想いがきちんとのっているもの。
だから、物自体が高くても安くてもそんなのは関係なかったことにも気付けた。
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